SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

千葉ロッテから考える、挨拶って「来させるもの」だっけ?という問題。

今年のプロ野球シーズンもあと僅か、我が千葉ロッテマリーンズも昨日の仙台が今年最後の遠征試合だった。
 
さて、今年のロッテの各球場での最終戦で、とあるシーンが繰り返されているのをご存じだろうか。


2013/10/7のロッテ関西最終戦にて。

それは試合終了後、勝敗関係なくレフトスタンドに詰めかけたロッテファンに向けて、このように挨拶するシーン。
ロッテに限らず、最近は各球団もその球場での最後の試合が終わった後は、このように挨拶に来ることが多い。
それはこの1年、遠征でも常に大声援を送ってくれたファンへ感謝の気持ちを込めて、という意味合いがある。
もちろん千葉ロッテマリーンズでも、昨年の関西最終戦をはじめ、以前より挨拶するシーンは見られていた。
 
が、今年の千葉ロッテマリーンズは、この挨拶するシーンが例年に比べとにかく多く見られる。
昨日の仙台でも、今週月曜がラストだった福岡でも、9月頭がラストだった同じ関東の西武ドームでも。
もっとさかのぼれば8月末の東京ドームでも、その前がラストだった関西3連戦でも挨拶に行っている。
なんなら関西最終カードでは、初戦の大阪・3戦目の神戸と3連戦中2度もスタンドに挨拶に出向くほど。
 
なぜナインはここまでして最終戦にロッテファンが詰めかけるスタンドに向けて挨拶に来るのか。
 

問題の発端は札幌の最終戦

日本ハム主催の最終カードが東京ドームで行われた関係で、今年の札幌は8月半ばが早くも最終戦だった。
その試合見事に負け、この3連戦全敗となったロッテナインは重い雰囲気の中そのまま球場から引き揚げた。
 
が、それが札幌ドームに詰めかけたロッテファンの怒りを買うことになる。
 
「なんで挨拶に来ないんだ!今年札幌最後なんだぞ!」
「こんだけ無様な試合をして応援してくれたファンに感謝はないのか!」

 
一部の暴徒化したファンはTwitterで選手に苦情を入れ、川本選手がそれに対して謝罪する事態にもなった。
 
それ以降、どうも球団内で「その球場の最後の試合では必ず挨拶に行こう」という取り決めがされたらしく、

前述のように千葉からすぐそこの東京ドームでの最終戦でも挨拶に来た。しかも挨拶するナインに向かって
「おいおい!もっと前来いよ!」
とヤジを飛ばす人もいて、ただでさえ微妙な気持ちでそれを眺めていたのに、ますます微妙な気持ちになった。
そして来年の交流戦*1とかでもこれやりだしたら、いよいよキリなくなるんじゃ?と心配な気持ちにもなった。
 

挨拶って「来てもらう」ものであって、「来させる」ものじゃないと思うんですよ。

数年ほど、最終戦後恒例のエール交換を楽しみに毎年関西最終戦には皆勤していたことがある。
あのころも最後にナインが挨拶に来ることはなかったが、「なんで来ねぇんだよ」と怒る人はいなかった*2
そして昨年、福岡最終戦でも挨拶はなかったが、それに対して怒る人は自分の周囲にはいなかった。
 
この1年でいったいなにがあったんだろうか。
 
ここ数週間のビジターの最終戦での挨拶を、ぼくは微妙な気持ちでしか観ることが出来なかった。
札幌での一件以降、どうにも毎回の最終戦での挨拶が「来させている」ような感覚が拭えなかったからだ。
まして、「もっと前へ来い!」って、挨拶に来てるナインに一体この人らは何を要求してるのだろう?
もっとファンに近いところで挨拶することで、彼らはほんとうに気が済んだのだろうか?
 
ぼくには挨拶に来い、もっと前に来い、という一連の発言が、すべてクレームにしか聞こえない。
そしてそんな声に真摯に対応するナインに対しても、そこまで律儀にしなくても、っていう目でしか見られない。
 
クレームによって挨拶に来てるのなら、正直挨拶に来なくても良い。気持ちよくその光景を観られないから。
本来ならば気持ちの良いシーンである挨拶がこうしたクレームで気持ちよく観られないのは、すごく残念だ。
ぼくらも今一度、ファンサービスに対してきちんと考え直さなければならない。無茶言いすぎてるんじゃないか。
こういうのは選手の善意の下で成り立ってるんだから、文句は言っちゃいけないんじゃないかな。
 
心のどこかで、「挨拶に来るのが当たり前」という感覚があるんだろうけど。
でもそれは、「当たり前」という言葉を大いにはき違えてないかな、と釘をさしたくなる。
 
来年こそ、何のしがらみもなく、スタンドに向けて挨拶するナインに「ありがとう!」、と叫びたい。

*1:まあ来年から交流戦ビジターは6球場全てに行くことは無いんだけど、例えば地方球場での試合後はどうするんだろ

*2:たぶん挨拶に来る、という流れが生まれたのも、ここ5年くらいだと思う