SH Diary.

かつて不登校だったひとが野球や遠出、日常とたまにちょっとまじめなことを書いてます。

清原は、弱い人間だったのか

あれは8年前の秋だったか。

ロッテの黒いユニフォームに身を包み、僕は京セラドーム大阪のレフトスタンドでオリックスとの試合を観戦していた。ロッテの渡辺俊介がその年久々に2位に躍進したオリックス打線を次々打ち取り、気が付けば9回裏、6-1でロッテが勝っているラクな展開で敵の代打で出てきたあの選手。

もう既に引退を表明していて、確かその試合が最後のロッテ戦だったと記憶している。長渕の歌声とファンからの歓声が大きくこだましたそのシーンは、間違いなくその試合一番の盛り上がりを見せていた。

その興奮が冷めぬ中、彼は初球をドカンと打ち上げた。まあ結局良い当たりのセンターフライだったのだが、いつまでも豪快に打球を飛ばす彼の最後の勇姿に僕はある意味満足して、ベンチに下がる彼への大歓声に紛れ込ませるかのように思わず立ち上がって敵の選手に絶叫した。

キヨハラァァァァァ。ありがとおおおおおお。

今年でロッテの応援をしに球場へ通ってちょうど10年になるが、敵チームの選手にこんなことを叫んだのはこの1度きりである。

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その清原が、逮捕されたという。覚せい剤らしい。

一報を聞いたとき、うわーまじか、と最初は思った。だいたい、右方向への流し打ちであんなに飛ばせる日本人選手はそうそういない。そういうところは魅力に感じていたし、パワプロでもよく使ってたこともあって、とても残念だなーとは感じた。

だけど、あーそうか、確かにそうだなあと、直後の乙武さんのツイートを見て思った。

このツイート、一部からは「犯罪者を擁護する気か」「お前に何が分かる」「弱いから何?関係あるの?」などとえらく炎上しているのだが、これはよく清原のことを分析してるツイートだと思う。他にもPL学園時代の野球部の監督が「清原は本当は繊細な性格なんですよ」と評しているコメントも容易に出てくる。

人間がみな「弱い」生き物であることは確かだ。しかしひとくちに「弱い」にも様々あって、ちょっと怒られただけでものすごく凹む人もいれば常に何かに対して批判してないと気が済まない人もいるし、自分の意思が弱いから平気で人に流され、物事の善悪もつかない人もいる。

覚せい剤を使えば逮捕される」ことは、普通に生活していれば誰だってわかる(と思われている)。そして、ひとたび逮捕されれば自分の名誉、職、すべてが傷つき失うことも、誰だってわかる(と思われている)。

でも、中には、どれだけ大人であっても、どれだけ有名人であっても、その判断がつかない人だっているのだ。

思い返せば、清原はかつて西武にいたときデッドボールにブチギレて、マウンドにいたロッテの平沼と言う投手に向かっていきなりバットを投げつけたことがある。珍プレー好プレーの乱闘編でよく見るシーンだが、これもよく考えたら物事の善悪がついてないと言っても過言ではない。

高校1年から名門校の野球部で中心選手として活躍し、プロに入ってからもプレッシャーと戦ってきた中で、自分は本当は弱い人間なんだけど強く見せなきゃいけない、と言う気持ちがもう長いことあったのだろう。何かあったときに弱みなんか見せられない、だから誰にも相談できない。

そうやって人知れず孤独になり、自分を保つことが出来ずに薬物に逃げたんじゃないかと想像している。もちろんこういったことは許されない行為であるし、擁護をするつもりはない。実刑になるか否かはこれからの判断だとは思うが、罪はしっかりと償うべきだ。

だけど、どこかで周囲がそれに気づいてプレッシャーから解放される手だてがあれば、ここまでにならなかったんじゃないかなあ、という気もしている。それは彼のこれからについても同様だし、もっと身近な人で同じようなプレッシャーを感じている人がいるかもしれない。

だから、「弱い人なんです」っていうこの見立ては別に間違ってないと思う。弱いことも、関係あるのだ。

本当は繊細なのに、ついつい人の前では不安な自分を隠すために大きな態度を取ってしまう。こうして「自分に嘘をつく」ことは第三者を傷つけることはもちろん、ひいては自分自身に大きい反動が来ることになる。普段こうして自分に嘘をつく人も多いかもしれないが、いつかこうなる危険性をはらんでいるわけだ。

薬物からの更生プログラムは過酷なものだと聞くし、薬物の再犯率も高いと聞く。ひとりの野球ファンとして、なんとかその連鎖だけは断ち切ってほしいと切に願う。

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