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SH Diary.

かつて不登校だったひとが野球や遠出、日常とたまにちょっとまじめなことを書いてます。

高嶋ちさ子さんの「我が子のゲームを壊す」行動から考える「自尊感情」

thought

東京新聞2月12日付紙面に載った高嶋ちさ子さんの子育てコラムがちょっとした騒ぎになっている。

記事によれば、宿題が完全に終わっていないにもかかわらずゲームに興じていた長男の3DSを怒りに任せてバキバキにぶっ壊し、ついでにチェロの練習をしてなかった次男の3DSもぶっ壊す。そのうえで「ママから二度と信用されないということを心配しなさい!」と一喝したそうだ。

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全然関係ないですが僕が持ってたゲームボーイカラーはクリアパープルではなく青緑色でした(元ネタ)。

一部キツい表現があることは置いといて、この行動に対しての意見としては下のエントリにほぼ同意する(それにしてもすげぇ名前のURLだ)。

だいたい、「なぜ長男は宿題を終わらせてないのか(次男はチェロの練習をしていなかったのか)」もわかってないのに、その場の感情に任せて子どもたちのゲームを無理やり壊したってなんの意味もない。もしかしたら親が設定したルール自体に無理があった可能性もある*1

件のコラムには、その後長男はテストで100点を取ったと自慢げに綴られているが、これも長男が母親にものすごく気を使ってるように見える*2し、ある程度ご機嫌取ったら元に戻る気がする。そもそも体罰だったりモノを壊す罰と言うのはあくまで一時的な罰なので、結果的に問題が食い止められていないことが多い。

何よりも、子どもは大人をよく見ている。だから例えば何か悪さをして殴られて育った場合、「大人の世界はこうしてもいいんだ」と子どもが成長したときに暴力で何事も解決しようとする大人になってしまう。たまに虐待で親が逮捕されたときに親の悲惨な生い立ちが紹介される*3のは、そういうことなのだと思う。

よく問題になる「教師や親の体罰がいけない」というのは、そういう「暴力」で解決する選択肢を示さないため、ではないかと考える。

えーと、なんの話だっけ、ああ高嶋さんの話だ。
 

こういうお母さんがいまじわじわ増えている

これを一読したときに、この人なんてことするんだ、っていうかよく東京新聞はこんなコラムの掲載許可出したなあ、と思わず呆れてしまったのだが、同時に「ひょっとして?」とピンとくるものがあった。

怒り狂って息子のゲーム機をバキバキに破壊 高嶋ちさ子の“しつけ”に非難殺到 - BIGLOBEニュース

たぶんしつけ云々というより、高嶋さんの育ってきた環境とか普段溜めてるストレスを危惧したほうがいいかもしれん。

2016/02/12 21:32
あわててはてなブックマークにメモ書きを残したが、でもこれ以上探りようないなーと思っていたところに、高嶋さんのTwitterをあっさり発見したので、少し過去のツイートを読んでみた。

あーやっぱそうだったのか、と思ったツイートがいくつかあった。

何をやってもダメ」「自分のダメさ、バカさ」。

このへんの言葉から察するに、高嶋さんは自分に自信を持てていないのだろうと思う。しかも極端に。

とくに給食がある日なのに弁当を作った話、「あーやっちゃった!」と笑い話にしたり「次からは気を付けなきゃ!」というならまだしも、この人大丈夫か?って言うくらい異常に自分で自分を責めている。

よく読めば「全てを完璧にこなしていると豪語」しているのに「何をやってもダメ」とひどく矛盾した考えなこともわかる。恐らく何事も完璧でなければならない、と思っているのだろうけど・・・。

「良い所も悪い所も全て自分だ、と受け入れる気持ち」のことを「自尊感情」(自己肯定感)という。これがしっかりしてないと、何かにつけて人を見下したり自分はどうせ無理なんだから、と極端に卑下したりする。で、いまこの自尊感情が低い子どもが多くて、そういう子どもは自信を持てなかったり失敗を恐れたりする。

もちろん自尊感情の低下には様々な要因があるのだが、ちょっと掘り下げると実は親の側の自尊感情が低いことも結構ある。それは、子育てに対する自信を失い子どもにつらく(厳しく)当たるパターンから、そもそも親自身も自尊感情の低い親に育てられたというパターンまで、列挙すればキリがない。

この記事に関するコメントを数多読んだのだが、「弦楽器を習わせる子どもは特にスパルタ教育が必要」「彼女もスパルタ教育で育ったと言っていた」という話がいくつかあって、これらが本当であれば「自分の親がこうしてたんだから、自分もこうしなきゃ」という固定概念にとらわれている可能性がある。

いずれにせよ、常に「完璧」(これもどういう状態を指しているのかすごく曖昧な言葉である)を目指すあまり、子どもの行動にも完璧を求めすぎている節があるのは確かだ。で、完璧じゃなければ「自分は子育てに向いていない」と自信を失う結果になり、やはり完璧じゃない子をきつく叱ることで自信を保とうとする。

そんな母親に育てられた子どもは、ちょっとしたことで度が過ぎた叱られ方をされるがあまり「自分って駄目な存在なのかなぁ」などと自信を無くす結果になり、やはり自尊感情が低下していく。こうなれば悪循環そのものである。

誰かがリツイートしていたこのツイートが上で説明したような感じなのだろうと思う。散々母親に怒られ続けて自信を失った子どもが、母親の家出する!というある種の心の叫びに「行かないで!」という、そんな素直な返答をするはずもない。

子どもは母親のご機嫌取りでも何でもないのだ。

ていうか、2014年のツイートなのか、これ。
 

これは決して他人事ではない

先述したが、子どもの関わりや子育てに自信がない親御さんと言うのはかなりいる。今スタッフをしているNPOはまさにこういった自信低下問題を解決する事業をしているのだが、よく子育てに悩むお母さんから「どうすればいいの?」というメールが来る。ちなみにうちの団体に子育てをしているスタッフは1人もいない(ここ重要)。

子育ての悩みを解決するNPOの中には代表理事が親じゃない団体もザラにある。こういうことを書くと、「子ども育ててないのに親の気持ちが分かるか!」と言うお叱りの声もあるのだが、アドバイスのメールを送ると「助かりました!」とすごく感謝されることもあるし、逆に情報をくれるお母さんもいる。

いくら家庭内の問題とはいえ、こういう仕事をしている身からすると、今回の高嶋さんの一件についてはとても他人事とは思えない。自分ひとりで育てようとするその姿勢はそりゃしんどいだろうと思う。自尊感情低下の一因には地域の大人との関わりの減少、という要因もある。

ストレートに言えば、ツイートやコラムを読む限り、高嶋さんの抑圧から早いことお子さんを解放する必要もあるし、高嶋さん自身もどうにかして魔の手から救い出さなくちゃいけないと思う。そのときに、カウンセリングに行かせるか、近しい友人が一声かけるだけで良いのか、救い出す手段は十分に考慮せねばならない。

でないと、お子さんにとっても高嶋さんにとっても、誰も得しない結末が待っていることは間違いない。

それと、この問題で感情的に怒る人も、一歩間違えたら自分自身が知らず知らずにこうなってしまう危険性があることも心に留めておくべきだと思う。もちろん僕自身も。同じような悩みを抱える人も、是非どこかできちんと吐き出してほしい。それがひいては自分のため、周囲のため、何より子どものためになるのだから。

*1:こういうことを言えば家庭の問題に口を挟むなと怒られそうですが

*2:たぶん長男のテストに対するプレッシャーは半端なかったと思う

*3:っていうか、こういう側面報道するのもどうかと思うんだけどなあ

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