SH Diary.

かつて不登校だったひとが野球や遠出、日常とたまにちょっとまじめなことを書いてます。

今年200冊読んだので心に残った本を10冊書き出してみる

1月末にふと電車移動の暇つぶしとして始めた読書が思いの外続いて、とうとう今年の読了冊数が200を突破した。めくったページは5万ページ越え。まさかここまで読書にのめり込むとは思ってもいなかった。

「StudyPlus」というアプリで読書時間の記録を取るようになってからは、1日1時間家にいる日でも意識的に本を開くようになった。これは家で勉強することが大の苦手だった僕にとっては格段な進歩である。7年前、深夜3時のマクドナルドで毎夜勉強していた大学生の僕にこのことを教えてやりたい。

それはさておいて、ちょうどいい機会なので、ここらで良かった本、心に残った本を10冊ピックアップしてみたい。とはいえ、200冊の中から10冊なので、正直悩みに悩んだ末の10冊であることを最初に告白しておく。また、仕事の関係上、教育関係の書籍が多いのもご留意願いたい。

 

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』坪田信貴 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

言わずと知れた『ビリギャル』。正直、僕はこの本をナメていた。ただのお涙頂戴の感動物語だろうと思っていた。ちなみに僕はその手の物語が大の苦手である。

そんなノリでGWに図書館で手に取ったのだけど、最終的に文庫版を買ったのを忘れて完全版を買ってしまうくらいハマってしまった。つまり今僕の部屋の本棚には文庫版と完全版、2冊が鎮座している。これは感動物語ではなく、坪田先生のメソッドから子どもとの関わりを、そして教育とは何か?を考えさせられる本だ。

この本の読みどころはビリギャル・さやかちゃんじゃなくて、そのお母さん「ああちゃん」だと思っている。ああちゃんが身を挺して学校の教師とバチバチに戦ったことが逆転劇につながっている。生徒の頑張り、努力を長時間の押し問答でも認めようとしなかった学校の頑なな態度は、読んでいると正直腹が立つ。

なぜそういう決めつける教育をするのか、上から生徒を押さえつける教育をするのか、そして純粋な彼女の目標を踏みにじるような対応をするのか。ああちゃんの戦いの記録は、いまの教育の問題点を鋭く指摘しているようなものである。そういう観点から考えてもこれは名作だと思った。
 

『I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝』ズラタン・イブラヒモビッチ 東邦出版

I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝

I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝

ご存知、サッカー・スウェーデン代表の大エース、イブラヒモビッチの自伝。

とにかく彼は我が強くて王様のような強烈な個性を持つ選手だが、時折寂しがりな一面を臆することなく記しているところがみどころ。そしてその一面が、彼の我が強い王様のような個性を生み出したんだろう、ということがよく分かる。

いつも、寂しかった。寂しくてしょうがなかった。子どもの頃からずっとそうだった。そばにいて、日々の出来事、辛いことなどに耳を傾け、寄り添ってくれる相手がいなかった。

引用:ズラタン・イブラヒモビッチ(2012)『I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝』東邦出版 P163

時々ある「~だぜ」という語尾もイブラヒモビッチらしいナイスな翻訳だと思う。ちなみにこれを読んだあと、僕は「ウイニングイレブン」でいつも使ってるチームにイブラヒモビッチを加えました。
 

『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』 岡田麿里 文藝春秋

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』の脚本家、岡田麿里さんの自伝。「学校へ行けなかった私が」というタイトルの通り、小学校から端を発する彼女自身の不登校体験、さらにそんな彼女がいかにして売れっ子脚本家になったのかまでが赤裸々に綴られている。

あの花の主人公「じんたん」が不登校なのは、こうした彼女の体験がベースになっているのだ。

彼女の場合、両親がすぐに離婚して母親(と祖父)との暮らしになり、また母親自身が2人の妹に否定されながら育っていた。そして母親の「彼氏」の存在が、母親にも、また娘である岡田さんにも暗い影を落としている。不登校と家庭環境について深く考えさせられる体験談である。
 

『14歳』 千原ジュニア 講談社

14歳 (MouRa)

14歳 (MouRa)

中学~高校と引きこもりの経験を持つ千原ジュニアの自伝的小説。ドラマ化もされている。

たまにジュニアとケンコバが出ている「にけつッ!!」というトーク番組を観ているのだが、そこでジュニアはよく母親のおもしろ話をしている。が、そこに至るまではこんな生々しい衝突があったのか(自伝的「小説」なので、いくらかフェイクはあるのだろうが)、と驚嘆せずにはいられなかった。

本人はもう「自分は他人と同じ人生を生きられない」ことをハッキリ自覚しているのに、それを周りの大人が誰も認めてくれずに引きこもりに拍車が掛かる心情がものすごくリアルに描かれている。引きこもる子どもの気持ちがわからない、と嘆く大人にぜひ手にしてほしい1冊。
 

『反省させると犯罪者になります』 岡本茂樹 新潮社

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

ドキッとするタイトルだが、いわゆる反省文とか、芸能人の会見で世間にごめんなさいと反省の色を示す意味の無さを著者の学校や刑務所での講師経験から指摘している。要するに反省を促すのではなく、なぜそんな行動をしたのか?そこに至る心理状態の原因は?という点が重要だよね、というお話。

これを読んでから、ますますワイドショーの不倫会見とかで「世間を騒がせてしまいすいません」と謝る姿にもはや意味は無いんじゃないか、と思うようになった。だいたい世間ってなんなのか。自分は別に騒いでもないし迷惑を被ったわけでもない。

なお、たいへん残念なことに、著者の岡本先生は2年前に亡くなられている。続編『いい子に育てると犯罪者になります』は岡本先生の遺稿を整理して出版されたもので、これも非常に良かった。お話を聞いてみたかったものである。
 

『子どもを信じること』田中茂樹 大隅書店

子どもを信じること

子どもを信じること

この本、単行本としては結構いい値段する(2800円+税)。しかしその値段すら安く思えるほどの内容だった。実際、仕事で関わっている不登校の子を持つ保護者の方も「この本すごく参考になりましたよ」と感想を教えてくれた。著者は奈良の診療所の臨床心理士である。

幼児期から青年期にかけての子どもの発達・成長や、ひきこもり、摂食障害不登校など心の葛藤についてどう接すればいいかがとてもやさしい口調で書かれている。これを読んでいると、大人ってついつい自分(大人)と同じことを要求して、子どもを信用したり同じ目線で立てていないなあ、と思う。

子どもがもし味噌汁のお椀をひっくり返しても、それを通してお椀の持ち方を学習するので、親はそれを責めずに淡々と片付けるのが良い、という話には思わず納得。また、こういうアクシデントで食べ物が無駄になった・・・と思うのではなく、ひとつの「食育」として捉えるべき、という考えも興味深かった。
 

『高校生の叱り方―子ども自ら自分を変えるには』 鈴木敏則 学陽書房

高校生の叱り方―子ども自ら自分を変えるには

高校生の叱り方―子ども自ら自分を変えるには

『ビリギャル』が落ちこぼれの高校生の親目線で描かれているのに対し、こちらはそんな高校生を預かる教師としての立場の書。「問題行動をただ叱責する」ことに果たしてほんとうに意味があるのだろうか、と考えさせられる1冊。

ルールは守らなくてはいけない。ただ、その「ルール」が実態に即しているか、は別問題である。

2度自主練習を休んだら発表させないというルールなのに2度休んだ生徒が現れたが、その原因は本人ではなく連絡ミスや部活の都合だった。遅刻常習犯の生徒の遅刻理由は、母子家庭で生徒が家事全般を請け負い(いわゆるネグレクト)、しかも長距離を自転車通学して毎日疲れ切っていたことだった。

それでも「ルールだから」と欠席や遅刻を罰することが、果たして意味のあることなのだろうか。

大阪の高校で地毛が茶色なのにルールに則って黒染めするよう脅され裁判を起こした高校生がいたが、なんでもかんでも規則に当てはめようとする教育は何も生まないと思う。
 

『教養としての「世界史」の読み方』本村凌二 PHP研究所

教養としての「世界史」の読み方

教養としての「世界史」の読み方

今年教育実習に行った。担当科目は世界史と日本史だったのだが、実習後意外に世界史に弱かったなと思って今も世界史の本を結構重点的に読み込んでいる。同時に「教養」という漠然としたものにも興味があって、その2つのワードが含まれたこの本を手にとるのに迷いはなかった。世界史の入門として最適な1冊。

その名の通り、教養知識としての世界史を取り上げていて、たとえばギリシアの将軍は負けると処刑されるか祖国の土を二度と踏めなかったけど、ローマの将軍は負けても逆に国民が応援してくれて、それがローマ帝国繁栄につながった、などと歴史の話なのに今でも通用する考え方がいろいろと書いてある。

ちなみに、著者の本村先生は古代ローマが専門の東大名誉教授なのだが、歴史学者でも教授でもない「ライフネット生命」という保険会社の会長の出口治明さんが書いた世界史の本が、とても本職が保険会社会長とは思えないほどの豊富すぎる知識にあふれていて、世界史に興味があるなら1度読んでほしいレベルである。
 

『何をやっても続かない自分を変える あきらめない練習』 植松努 大和書房

何をやっても続かない自分を変える あきらめない練習

何をやっても続かない自分を変える あきらめない練習

小中高生とまんべんなく関わる仕事をしているが、ともすれば「こんなん無理や!!」と子どもが絶叫する。今、小さなことでも諦めてしまうことが多い人が増えているのはおそらく事実だろうし、もしかしたら自分もその枠に入っているかもしれない。

ちょっと前にも書いたが、植松電機という北海道の会社の代表取締役、植松努さん(id:Tsutomu-uematsu)を尊敬している。ロケットを飛ばすという夢を周囲に散々否定されながらも、小さな町工場から本当に宇宙に向けてロケットを飛ばした彼は、すべての人たちに向けて「あきらめないこと」を力強く説いている。

この本は、「だったらこうしてみたら?」をキーワードに、あらゆるシチュエーションで諦めそうになったときに備えて様々な解決策が示されている。挿し絵やふりがな、分かりやすい表現が豊富なので、子どもでも楽しく読めるような配慮がなされているのが良い。
 

笑福亭鶴瓶論』 戸部田誠 新潮社

この帯の単純すぎる絵で、誰もが一発で「鶴瓶だ!」と分かるのが、また良い。

鶴瓶師匠がなんか好きだ。ロケで訪れたお店の10周年記念日をちゃんと覚えていて花を贈ったり、自分のライブに呼んだ後輩に対して打ち上げの店選びからタクシー代まで全部面倒を見る気遣いを見せたと思ったら、実は「悪瓶」だとか、うっかり局部を生放送に乗せたりする破天荒ぶりを持ち合わせているのがたまらない。

でも、誰からも愛されている存在なのが、鶴瓶師匠という人なのだ。

そんな笑福亭鶴瓶という男をとことん掘り下げた、鶴瓶好き必読の書がこれ。ちなみに鶴瓶師匠のInstagramはほんと毎日楽しそうで幸せになれるのでみんなフォローしたほうがいい。
 

おまけ:『ゴリパラ見聞録 公式BOOK ウォーカームック』 KADOKAWA

基本的にこういうムック本や雑誌は読了冊数に含めていないので、番外編としてご紹介。

「ゴリパラ見聞録」という福岡のテレビ西日本がつくっている深夜番組が大好きだ(詳しくはこのエントリを)。好きすぎてこの間福岡行ったとき1日中この番組の公式Tシャツを着て歩いてたら、なんと帰りの深夜バスで色違いの同じTシャツを着た「キッズ」*1に声かけられてびっくりした。

このムックでぜひ読んでほしいのが、ゴルゴ松本が寄稿している10000文字のラブレター。ゴリパラTシャツ着てテレビ出るほどの「キッズ」にして彼らの事務所の先輩、という立ち位置から語られた「ゴリパラ」が実に熱い。この10000文字に目を通しただけでこれ買ってよかったと思った。
 

まとめ:文庫と新書と単行本の区別もつかなかったけど

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これまで本を読む習慣がまったくなかったわけではないのだけど、実は恥ずかしながら文庫と新書と単行本の区別がまったくついていなかった。ふとこの3種類ってどういう違いなんだろう?と思って調べたら、自分が思っていた「新書」がぜんぜん新書じゃないことに気付いて仰天したものだ。

そんなところからはじめた読書だけど、今じゃすっかり電車の中では本を開いていないと落ち着かなくなってしまった。今日はX分移動時間があるから2冊は持っていかないと不安だな・・・と思って荷物に本を入れて、結局1冊は読まずに家に帰るのも日常茶飯事である。

いま不登校や教育を取り上げたコラムを2つ書いていてどのみちインプットは必要不可欠だし、本を読んだからこそ足りていない知識が教養がまだまだあるなあと気付かされた。200冊を越えてそろそろ「1冊を完璧に頭に入れたい」*2がために再読したいのだけど、まだまだ積読が70冊もあるので、どうなることやら・・・。

ちなみに、今年読んだ200冊は、すべて僕の読書メーターに記録しているので、どんなものを読んだか気になる物好きの方はぜひご覧ください。

*1:ゴリパラ見聞録のファンのこと。由来は大友康平

*2:「初耳学」での林修先生での発言より

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