SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

2022夏・避暑とグルメの山梨長野1泊2日【その3:観光列車で行く姨捨と松本】

その2はこちら↓

長野→姨捨

ここで、話を前日夕方に戻す。

リゾートビューふるさと」という観光列車の広告に、電車待ちの小淵沢駅で気がついた。この「リゾートビューふるさと」号は朝に長野を発車してまず松本へ向かい、そこから折り返して白馬の奥にある南小谷へ向かう列車らしい。

調べるとこれは「快速」なので、指定席さえ抑えられたら18きっぷでも乗れることがわかった。長野駅を発車する時間もちょうどいいので明朝はぜひともこれに乗りたい。ところが明日は「山の日」、つまり祝日なのでこりゃあ指定席なんてもう残ってないだろう・・・と思っていた。

小淵沢から2時間半かけて長野駅に到着して、ダメ元でまず券売機へ向かい、明日の「リゾートビューふるさと」の空き状況を見る。夏休みの祝日前日だし、まあ満席、もしくは空いてても通路側の席がひとつかふたつくらいだろ、とまったく期待せずに確認すると・・・

・・・一番空いているという後ろの車両の予約状況は、10席にも満たなかった。

なんかの間違いだろうと思って五度見くらいしても、その空きっぷりは変わらない。え、こんなもん、席選び放題じゃないか。

というわけで、姨捨の風景が見える進行方向左側の窓側の指定席券をゲット。まさか出発前日の夜でもこんなに空いているとは。どうせなら白馬のほうまで行きたかったが今回のメインはあくまでも「夏の木曽」なので、途中の松本駅で降りることにした。

そうして翌朝9時半、大量に土産物を抱えた長野駅に話がつながってくる。

やってきた「リゾートビューふるさと」号には、長野県のマスコットキャラクター・アルクマがふんだんにデザインされていた。

長野から松本までは普通電車でも1時間半もかからないのだが、このリゾートビューふるさと号、なんと2時間弱かけて走っていく。途中3つしか駅に止まらないのに普通電車以上の時間がかかるのにはもちろんからくりがある上、なんなら「観光列車」たる所以でもある。

ただし、昨日乗った通勤電車みたいな座席ではなく、背もたれを倒せてかつ座席間隔も広々とした非常に快適な座席で移動することができるのは非常に嬉しい。これで530円って、ちょっと安すぎやしないだろうか。

最初の停車駅・篠ノ井を出ると、「リゾートビューふるさと」最初の見どころ、姨捨へ。

昨日夕方、そして夜景をさんざん眺めた姨捨だが、まあまったく飽きることはない。先頭車両のフリースペースに陣取って雄大な風景を眺める。そしてここにもしれっと顔を覗かせるアルクマ。

ほぼほぼすべての乗客が姨捨の景色の写真を夢中で撮っていた。これは撮るよねー。

ということで約12時間ぶりに姨捨駅に戻ってきたが、「リゾートビューふるさと」号はここでなんと30分も停まる。なので、長野から松本までの普通電車よりもえらく時間がかかっているというわけだ。

この「リゾートビューふるさと」号には車掌とは別に観光アテンダントも乗っていて、記念写真なんかもお願いすると撮ってくれる。日付入りのパネルもあって、姨捨の絶景をバックにまるで2000本安打を達成した野球選手のような写真を撮ってもらったりもした。

さすがにこの30分の停車時間、じっと車内で待つ客は誰もおらず。

この姨捨駅はスイッチバック駅、つまり本来の線路から外れたところに駅がある。ホームの下にある本来の線路を、さっきまで隣のホームにいた長野行きの普通電車がいったん向こうで折り返す形で走り去っていった(そして写真は失敗した)。
 

姨捨→松本

姨捨を出発すると、とりあえず自分の乗る松本まではこうした長時間停まって観光する時間はない。このあとは明科駅にだけ停まって松本を目指す。

とはいえ、もう車窓が夏休みのそれ。これだけで十分観光資源という気もする。

先頭車両の一画にはでかいアルクマのぬいぐるみが置いてあった。しかもご丁寧にマスクをしている。

途中、横を流れる犀川の風景が眺められるようにゆっくり進みながら、2時間弱の「リゾートビューふるさと」号の旅はおしまい。

松本駅から乗ってくる客もそれなりにいた。

本来なら車内で尺八や太鼓の演奏といった伝統芸能を楽しめるプログラムもあるらしいのだが、コロナ禍でそれが中止されていたようだった。このプログラムがあればもうちょっと客も乗っていたのだろうか。とはいえ、また乗ってみたい!と強く思った「リゾートビューふるさと」号だった。

松本では40分ほど時間がある。というわけで、

やや急ぎ目に歩いて、松本城をちょっとだけ見物。昨年も行ったので、数枚写真を撮っただけで引き返す。たぶん滞在時間は5分もなかった。というか、毎度松本城は前だけ行って城の外観だけ眺めてすぐに引き返している気がする。

松本駅にいたコミュニティバスがどう見ても草間彌生のそれじゃないか、と思ったら、草間彌生さんがそもそも松本の出身だそうで、これは知らなかった。
 

松本→塩尻

そんなわけで本数の少ない木曽方面の中津川行きになんとか間に合わせた。このまま岐阜県方面まで抜けられるとあって車内はだいぶ混んでいる。まあ座れているのでなんの問題もないのだが、ここで何ひとつ想定していなかった大問題が発生。それは塩尻駅に着く直前に起こった。

この電車は塩尻駅を13時8分に発車します。発車までしばらくお待ち下さい

という車掌の放送を聞き、ふむふむと腕時計に目をやった。時刻、12時40分。

・・・・・・じゅ、じゅうさんじはちふん???

つまり、30分弱塩尻駅でずーーーーっと停まっているということなのか。

塩尻駅に着いた直後、後ろからさっそうと普通電車が現れる。あちらは昨日行った小淵沢行きだが、微動だにしない中津川行きを尻目にさっさと出発していった。というか、大慌てで松本駅に戻って中津川行きに間に合わせなくても、別にこの小淵沢行きであとから追っかけてもなんの問題もなかった。

とはいえ、30分弱もあるので松本駅でできなかった昼食調達に動く。塩尻駅と言えばあの入り口が狭い立ち食いそば屋だが、改札を出た側のスペースでさえ長蛇の列だったので断念。横のコンビニでとりめし弁当を買う。

野沢菜もたっぷりで非常に美味かったのだが、弁当の底に大量のご飯粒がこびりついて取れなかったのだけは参ってしまった。

停まったホームの端っこにぶどう園があったのでついでに見物する。そうこうしている間にただでさえ少し混み気味だった中津川行きがかなり混み合ってきたので、あとはもう車内でとりめし弁当といっしょに買ったコーヒーを飲みながらじっと待つことにした。
 
(その4につづく)