4月の今季初ビジター以来、ロッテが関西にやってきた。関西開幕シリーズは欠席したが、今回は土曜日のみ参戦することになった。
と、気になるのが先発投手。先週は5試合だったので石川・二木・涌井・スタンリッジ・唐川で回せたが、今週は6試合。しかも開幕からローテにいた大嶺兄は炎上が続いて離脱。涌井が木曜の西武戦で投げたのでスタンリッジと唐川がこの関西3連戦で投げるんだろうなあと思っていたのだが、どうあがいても1枠余ってしまう。
翌週は札幌→移動日→函館、という超変則日程もあって先発は5人で足りるし、土曜は中5日で唐川として日曜はいったい誰を投げさすんだろう、と木曜の夜スタンリッジがカード頭の予告先発で発表されたあたりから気になっていた。
そしたら翌朝、Twitterで予想のはるか上をいく選手の名前が上がっていた。
へ?明日関谷プロ初登板初先発の可能性あんの?
— Shun (@ma_ru_ko_me) 2016年5月20日
しかも唐川は中6日のままで日曜にスタンバイして、空いた土曜の先発予想がこうなっていたのである。
昨年の秋、JR東日本からドラフトで指名された直後、関谷とやはりロッテに指名された同僚の東條が2人揃って社会人野球の日本選手権で投げた日、僕はよりによって目と鼻の先で仕事の真っ只中だった。あれから半年。奇しくもあの日と同じ京セラドーム大阪のマウンドで、プロ初めての試合に挑む関谷を見届けるのか、俺。
・・・そして、金曜の夜、翌日の予告先発としてハッキリと「関谷亮太」の4文字があった。
試合前、入念にキャッチボールする背番号15。ちなみに、ロッテの選手のプロ初出場を生観戦するのは、10年間球場に通って初めてのことである。
バッテリーを組むのは日大三高で同級生だった吉田。この吉田、実は開幕してひと月半経ってそこそこスタメン起用されているにもかかわらず未だに1本のヒットも打てていない。普通スタメンどころか2軍行きの判断をされてもおかしくないが、伊東監督はここにきてにくい演出をもってきた。
そして、オリックス先発・近藤一樹も日大三OB。しかも近藤は2001年の日大三甲子園初優勝時のエースである。そのうえ関谷は近藤の姿に憧れて日大三に進学したというのだからすごい。なんなんだこの組み合わせは。
関谷、あんたは神か
関谷がプロ第1球を投じる瞬間。ちなみにバッターはやはりJR東日本OBの西野である。この縁もすごい。
で、関谷、2番大城をズバッと内角低めに決めてプロ初奪三振を奪ったものの、3番糸井と4番モレルの連打であっさり1点を失う・・・が、モレルが2塁を欲張りすぎて挟まれタッチアウト。ここで塁に残せば次は前日2ホームランのT-岡田に回ってただけに、非常に大きなワンプレーになった。
そしてこの日は打線が活発だったのも追い風だった。2回表、角中のヒットと井口さんの技ありヒットでランナーを貯めて、鈴木大地がきっちり犠牲フライ。これで同点に追いつくと、3回に清田がしぶとく一・二塁間を破って逆転。すかさずオリックス側がタイムを取って内野陣がマウンドに集まる。
・・・しばらくの間があった後の4番デスパイネ。初球だった。
スコーン!
まあ完璧な打球が、よりによって僕ら観戦仲間が陣取ってた左後ろ3mに着弾した。久々に生命の危険を感じるホームラン。
しかもそのホームランボールを捕ったのがなんと観戦仲間の友人だった。思わず写真に撮らせてもらった。
これで4点差と十分なリードをもらった関谷。3回と7回に1点ずつ失うものの、7回投げて20球投げた回が1度もなく無四球という超安定したピッチング。なんじゃこりゃ。普通にエース級の投球である。5回持ってくれたら万々歳やでと思っていただけにこれは嬉しい誤算。
打線もデスパイネの3ランの後も中押し・ダメ押しし、気が付けば前回の福岡から2試合続けて2桁得点試合を観戦することに。去年夏ごろの観戦36イニング無得点とは一体何だったのか、というレベルである。気付けば細谷・高濱・清田の上位3人が猛打賞。高濱はプロ初の猛打賞と言うおまけもついた。
関谷が降板後は8回に南、9回が調子が今一つ上がらない大谷が調整登板。大谷は前日もT-岡田に見事なホームランを食らっていたが、この日は安定したピッチングを見せてくれた。件のT-岡田を詰まらせて内野フライに打ち取っていたので、そろそろ完全復活してくれるだろう。
と、いうわけで。
勝ったぞー!
お見事、関谷プロ初登板初先発初勝利。当然、ロッテの選手のプロ初勝利も初めて見届けたことになる。
ヒーローインタビューでウイニングボールを掲げる関谷。このあと、 ♪マリーンズがーホンマに好きやから~ と勝利のテーマを肩を組んで歌ったのだが、やけに久々だなあと思ったら昨年5月23日以来の歓喜のテーマ*1だった。きっかり1年ぶりである。そんな歌ってなかったのかよ。
ぶっちゃけて言うと、ここ最近の観戦試合で投げた先発投手の中で関谷はぶっちぎりで安心して観てられた。2回裏、同点に追いついてもらった後、T-岡田・小谷野・ブランコという3人をあっさり3者凡退で切って取ったのを観て、これはイケると確信した。そして清田とデスパの逆転劇に繋がった。
ローテの都合で残念ながら翌日抹消になった関谷(代わりに上がったのが同じくルーキーの高野っていうのも楽しみだが)。月末から始まる交流戦、ひょっとしたらキーマンとなるのは他ならぬ彼なのかもしれない。