SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

地理の教科書でよく見る三重県めぐり【前編】

18きっぷの残り1枚の使い道がなかなか決まらない。いつもなら四国とかへ行くのだが、近いうちに四国へ行く予定ができたので、だったら別の場所に行ったほうがいいな・・・と思案していたある日、そういえば三重県って18きっぷであんまり巡ったことないなあとふと思った。

いろいろ調べていくうちに、仕事で使える、つまり地理の授業資料として有益な目的地が三重にいくつも見つかったので、これらを組み合わせて18きっぷを消化することにした。
 

京都→草津→柘植→亀山→高茶屋

まずは紀勢線で津の2つ先、高茶屋という小さな駅へ向かう。

ということで京都駅で琵琶湖線を待っていたら早朝からやたらとカメラを持っている人がいたので、なんだろうと思っていたら目の前を東京メトロの車両が通り過ぎていく。新車を東京へ送っているようだ。紫色なので半蔵門線か。

早朝の琵琶湖線といえば米原まで延々1時間以上乗り続けるのが定番だが、今朝はだいぶ手前の草津まで。つまり寝過ごしが致命傷となる。なんとか草津線に乗り換えたら眠りこけてしまい、目が覚めたら柘植駅でちょうどドアが開く瞬間。あぶねえ。

柘植からの関西線は、この時期本当に大雨でよく止まる区間なので少し心配していたがなんとか定時で来てくれた。ちょうど通学時間帯で車内は高校生でいっぱい、さらに亀山で乗り換えた紀勢線も車内の大半が高校生という状況だったが、津でほぼほぼ全員が降りていった。

さてこの高茶屋という駅、遠くにイオンモールが見えるごくごく普通の駅なのだが、この近くに地理の教科書にほぼほぼ掲載されているものがある。近くと言っても3kmほど離れているのだが、

それがこれである。

一見するとただ普通に川が二股に流れ込んでいる地形のように見えるが、これが実はかなり有名な地形だったりする。

近くにあった川の名前を表す看板、「雲出川」でピンとくる人もいるはず。

この川が二股に流れ込んでいるあたりを上空、つまり地図で見るとこんな地形をしている。

伊勢湾につながる河口で雲出川は二股に分かれているのだが、その真ん中に見事な三角形をした中洲がある。いわゆる「三角州」とよばれる地形だが、ここまできれいな三角形をした三角州はなかなか珍しい。三角州の例として、ここの航空写真が地理の教科書の地形の項によく掲載されている。

しかしこの三角州、たどり着くまでに本当に紆余曲折あって、まず高茶屋駅からGoogleマップのナビが示した車1台分の幅の道をビュンビュン車がすれ違い恐怖を覚え(理由は道路沿いにこども園があったから)、ついで曲がれと指示された道がこれ。いや、ただの草むら!

前夜の大雨で草いきれがすごく、しかも草自体も水分を含んでいてあっという間に靴がグショグショになる。前途多難とはこのことである。このほかにもそもそも歩道がなかったり、国道に出る歩道が封鎖されていたりして、ルートには大いに困った。

この三角州に入る橋を香良洲橋というのだが、事前にGoogleストリートビューで下見したときにあった「ようこそ香良洲へ」という賑やかなアーチがなくてあれっ?と思ったら、ほんの数ヶ月前に橋が架け変わったらしい*1

ところで、今回の旅程はかなり時間にタイトなスケジュールで、このあと高茶屋9時54分発の紀勢線に乗れないとすべてが瓦解してしまう。で、9時20分の時点で現在地から高茶屋駅までのルートを調べると、「徒歩で31分」という数字がiPhoneに表示される。

ん???

高茶屋駅から次の目的地までまた2時間かけての移動なのだが、早朝家でプロテインドリンクを飲んで以降何も口にできていない。道中にミニストップ、少し遠回りした先にセブンイレブンがあるのを確認していたので、ここでなにか食べ物を買わないと少しきついなあと思っていた。

が、自分は少し歩くのが早いとは言え、35分後の紀勢線に乗るために移動時間31分はどう考えてもカツカツすぎる。しかも遠回りする必要のあるセブンイレブンはもちろんのこと、道中見つけたミニストップも現在地から少し後戻りしないといけないので確実に間に合わない。

コンビニは諦め、とにかく54分に間に合わすように高茶屋駅へ急ぐしか手段はなくなった。

まあ結論から言えばこういう写真を撮る程度には余裕で間に合い、しかも紀勢線も未明の大雨で数分遅れが出ていたのだが、でも遠回りしてコンビニに寄る時間はまちがいなくなかった。しょうがないので駅前の自販機で見つけたゼリードリンクでお茶を濁し、予定通りの行程に進む。
 

高茶屋→鳥羽

この先、鳥羽でも待ち時間が10分もないのだが、さっきも書いた通り紀勢線に遅れが出ていて、次の鳥羽行きは4分遅れだと放送で知らされる。これはまた乗り換えが微妙だな・・・と思ったのだが、

途中の多気で15分近くも停まっていたので、なんの心配もいらなかった。

松阪、伊勢市、と三重県中部の主要駅を過ぎるとどんどん客が減り、二見浦駅で夫婦岩目当ての観光客が降りるとついに車内には自分ひとりに。高茶屋から1時間半かけた終点の鳥羽で降りたのは、二見浦駅で乗ってきて即隣の車両に移っていったおじさんと自分の計2名だった。

鳥羽に着く直前にちょうど同じ方向に走る近鉄電車が見えたのだが、行き先を見ると「普通賢島」と書いてあるので、どうやらこれに乗り換えることになりそうだ。
 

鳥羽→賢島

もちろんここからは近鉄線なのでJRの18きっぷは使えない。そこで、たまたま前日に自宅に新しく届いたpitapaを使う。まさかpitapaの初使用が自宅最寄り駅ではなく鳥羽駅になろうとは。

5分後に特急が、そして30分後には観光特急「しまかぜ」があったが、特急券を買うのが面倒だったのでそのままさっき見た各駅停車に乗る。いま考えれば「しまかぜ」は待てないにしろ、5分後の特急くらいなら課金して乗っても良かったな。ちなみに5分後の特急には途中の駅で追い抜かれた。

鳥羽から各駅停車で約40分。意外と賢島は遠かった。というか志摩半島の想像以上の広さに驚く。近鉄は京都近辺にも走っているし、なんならさっき書いた「しまかぜ」も「賢島行きの近鉄特急」もしょっちゅう見る存在だが、賢島まで来るのはもちろんはじめて。

そしてこの賢島駅、実は本州ではなく名の通り「賢島」という離島にある駅で、

賢島駅の手前で渡るこの橋で実は本州(左側)と隔てられている。

この賢島一帯の志摩半島は、地理の教科書では三陸海岸と並んでリアス海岸の一例としてよく出てくる地域である。賢島駅から北に10分も歩けば「賢島大橋」という、これまた本州と賢島をつなぐ橋があるのだが、ここからでも入り組んだ海岸地形がよく分かる。この水面は川ではなく英虞湾となる。

もっともリアス海岸を鑑賞するなら、賢島の数駅手前にある志摩横山という駅の近くの展望台が調べるとヒットする。が、ここも駅から3km、しかも上りということで、さっき三角州を見に相当歩いたあとにそれはさすがにしんどかったので止めた。

駅の反対側にあった旅館のレストランみたいなところで昼食。やはり海鮮がいいだろうということで、2600円の刺身定食を注文する。プラス200円でごはん大盛りにしたので2800円。今回はこと食事や買い物の時間が取れるかこの先もわからないので、ここで一気に奮発する。

なんとハモの湯引きまでついてきた刺身もさることながら、ついてきた魚の煮付けがたいへんに美味かった。

賢島駅に戻るとちょうど「しまかぜ」が並んで停まっていた。それを後目に改札前のファミマでコーヒーを買い、次の移動に備える。

(後半へつづく)

*1:帰宅後あらためてストリートビューを見直したら、なんとストリートビューの撮影は2012年11月だった