SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

地理の教科書でよく見る三重県めぐり【後編】

前編はこちら↓

賢島→鳥羽

結局、特急に乗ることなく戻りも各駅停車で40分かけて鳥羽へ。

最初、鳥羽ではこれまた10分の乗り換えで快速みえ号に乗り換える予定だったのだが、行きも鳥羽で10分もなく乗り換えているのでこのまま快速みえに乗ると鳥羽を完全スルーすることになる。もったいないなあと思い、30分後のJRの普通に乗ることにして、少し散策する。

この日の未明にエリザベス女王の訃報が伝えられたこともあってか、ミキモト真珠島ユニオンジャックの半旗が掲げられていた。

鳥羽駅を出てすぐのところに新しくテラスができていて気になったのだが、さっき賢島で刺身定食を、しかもご飯大盛りで食べちゃったのでそこまでおなかが減っていない。鳥羽駅の土産物屋でお手洗いを済ませてJR鳥羽駅へ戻る。
 

鳥羽→伊勢市

近鉄鳥羽駅は客が多く、外国人観光客が特急券を買うのに四苦八苦していたほどだったのだが、JRの鳥羽駅はまったく人がいない。奥のほうにぽつんと停まっている伊勢市行きの2両編成の車両に乗れば、客が自分ひとりでなお驚く。このあたりの近鉄の優位さをまじまじと感じる。

ようやく発車直前にもう1人乗ってきたのだが、それでも発車する素振りがないのでおかしいな?と思っていると、反対から来る快速みえ号が15分も遅れていて、これが来るまで動けないようだ。当初より30分遅らせたので、少しヤキモキしながら7分遅れで鳥羽を発車。

三重県に来て、しかも伊勢を通っているのにここに行かないわけにはいかないだろう、というわけで、伊勢市駅からお伊勢参りに出発する。今回は外宮→内宮と正規の参拝ルートをたどる。外宮へ行った記憶がないので、たぶんこの正規ルートで参拝するのははじめてな気がする。

ちなみに、戻りは伊勢市駅17時発の快速みえ号に乗れなければやはりこのあとの行程が崩れる。もっといえば、内宮を16時半に出るバスに乗り遅れたらアウト。伊勢市に降り立った時点で15時なので、2時間でお伊勢参りを済ませることになる。

それにしても、伊勢市駅から「豊受大神宮」とも呼ばれる外宮まで10分も歩けば着くほど近いとは知らなかった。

一礼して鳥居をくぐった瞬間に張り詰めるピンとした空気、木1本1本に感じるオーラとパワーに圧倒されるこの感覚は、やはりこの場所に来ないと味わえない。何度来ても不思議なスポットだなあと思う。

本殿にお賽銭を納め、二礼二拍手一礼に集中する。本殿横にある遷宮に備えた土地から見上げる空さえも神々しい。

外宮前のバス停まで戻ってくると、ちょうど信号待ちの間に目の前を妙にレトロなバスが通り過ぎていく。目を凝らすと思いっきり「内宮前」と行き先が書いてあったので、青になった瞬間大慌てでバス停へ猛ダッシュ

乗客が多く乗り降りに時間がかかっていたおかげで余裕で間に合ったが、やはりものすごく混み合っていて終始「赤福」のつり革にぶら下がるしかなかった。とはいえ、時間にロスなく内宮まで移動できたのは大きい。

皇大神宮」こと内宮は6,7年ぶりくらいか。

ずいぶんとご無沙汰してしまった無礼をわび、あらためて日々の感謝を外宮に続いて二礼二拍手一礼でお伝えする。Facebookを見ていると知人友人が正装で定期的に伊勢参りをしているのだが、なるほどこういうことかとよくわかった。

今回はこの神宮にお参りする予定を最初から組んでいたので、さすがにTシャツ1枚というラフな服装はまずいだろうと白い襟付きのシャツを着て動いている。おかげでかなり汗ばんでしまったが、こういうところはきちっとしておきたいという気持ちが強く、そしてそれは間違っていなかった。

内宮を出るとちょうど16時。リミットは内宮前16時半のバスなので、30分余裕を持たせることができた。そのまま伊勢市駅へ向かっても良かったのだが、せっかくなので「おかげ横丁」あたりを散策することにする。

なんかものすごいソフトクリームな気分だったので途中で買った。

おかげ横丁にくるといつもきゅうりの一本漬けを買うのだが、今回はさすがに時間が迫っていたのでパス。ここまで来ると最寄りが内宮前ではなく神宮会館前というバス停になるので、そのまま内宮に戻らずやってきた伊勢市駅行きのバスに適当に乗ったら・・・なんと超満員。

どうやらよくわからず乗ったバスは近鉄五十鈴川駅宇治山田駅にも立ち寄るルートということで、五十鈴川駅でドカンと降りていった。が、今度は皇學館大学前で高校生がドカンと乗ってきて、結局伊勢市駅までかなり混み合って到着。

時間が読めずに少し冷や汗をかいたが、予定通り17時発の快速みえ号に乗れそうだ。

伊勢市駅のコンビニで「スマックゴールド」という謎の飲み物があったので買ってみる。ちょっとさっぱりしたカルピスソーダのような味だった。
 

伊勢市四日市

日没が迫ってきていたが、最後のミッションをこなすべく三重県を一気に北上。

この快速みえ号は、津から先JR線ではなく伊勢鉄道という路線に入るため、18きっぷとは別料金を払う必要がある。どうもあとで車掌が回ってくるという話だったがそのまえに寝てしまい・・・起きたら車掌が前に座っていた客の対応をしているところだった。あぶないあぶない。

伊勢鉄道分の精算を無事済ませ、津まで戻ってきた。相変わらずここの駅名板は「?」に見える。

伊勢市から1時間ちょいで四日市に到着。いよいよ暗くなってきた。四日市でもある場所で資料写真を撮らなければいけないので、日が沈んでしまうとちょっと厳しい。

四日市から帰りの電車は19時14分発と確認して駅を出たのだが、なんか違う気がしたので改めてiPhoneで調べたらその1本前、18時56分発が正解だった。これに乗れないと帰りの時間が1時間半ほど変わってくる。翌日が仕事なのでなるべく早く帰りたいので、18時56分発を目指したい。

けど、ある場所はここから2km先。もちろん行ったら帰って来る必要がある。

そして現在時刻は、18時10分。

つまり、45分で4kmを歩き、かつある場所で資料写真を撮って戻ってこなきゃいけない。

あれ?これヤバいのでは???

いい感じに日が暮れてきた四日市国道23号線沿いを、とにかく走る。走る。9月も半ばが近いのでフジファブリック的に言えば「真夏のピークは去った」わけだが、今はもう汗だくで走るしかない。行き交う車のヘッドライトが眩しい時間帯に突入し、ますます焦りながらある場所へ走る。

さっきから「ある場所」「ある場所」と言っていたのは、ここ四日市の火力発電所のこと。四日市火力発電所自体はたぶん載っていないのだが、エネルギー問題は地理の授業をやる上では避けては通れない項目である。

とりあえず火力発電所とはなんぞやという写真だけあればいいので、数枚門の前で写真を撮りさっさと撤収。発電所前でいろいろ写真撮ってたら下手すりゃ不審者そのものになってしまうので、これくらいの短時間でサクッと逃げるくらいがよかったのかもしれない。

四日市といえば伊勢湾沿岸の工場夜景。ゆったり眺めたいところだがもう時間はない。というかここもいわゆる中京工業地帯の一角なので、小中学校あたりの社会科の教科書にはよく出てくるはずだ。

必死の激走のおかげで、とりあえず四日市駅へ直行しても10分くらい時間に余裕が取れそうだったので、少し道を外してコンビニに立ち寄る。ところが、パンとお茶を手に取りレジへ向かうと・・・なぜかレジが1つしか稼働しておらずそこに5人くらい並んでいる。うわー、まじか。

さすがに店員が慌ててやってきてレジがもう1つ開いたのだが、今度は目の前の客のnanacoが残高切れのブザーを鳴らしている。どこまで時間をロスさせる気なのか。結局隣のレジに「どうぞー」と呼ばれてもその客のチャージは終わらず、その間に会計を済ませて逃げるようにコンビニを出る。

すっかり夜の帳が下りた四日市の街を大慌てで猛ダッシュし、四日市駅に駆け込むと・・・セーフ!なんとか18時56分に間に合った。結局、4kmほどの道のりを40分ちょいで戻ってきたことになる。
 

四日市→亀山→

ヘロヘロになりながらなんとか全行程が終わった。あとは四日市からのんびり帰るだけ。

そのまま行きと同じ経路をたどるのはおもしろくないので、帰りは柘植ではなく加茂経由で帰ることにしていた。しかもこの四日市18時56分発は、亀山駅で2分乗り換えで1時間に1本しか無い加茂行きに間に合うというとんでもない神乗り換えルート。恐ろしくスムーズな移動ができている。

はずだった。

亀山駅を出て10数分、なんか窓からパチパチ音がするなあと思ってふと後ろを向くと、明らかに水滴がついている。

この日は天気予報が微妙だったものの、奇跡的に1日雨が降らなかったので正直少し油断していた。そこに件の水滴を見つけて、あれここに来て雨降ってきたかと、Yahoo!の雨雲レーダーをチェックすると、表示されたのがこのスクショだった。

え。

前編でも書いたが、この関西線の亀山から加茂にかけては大雨が降ったらびっくりするほどすぐに止まる路線である。にもかかわらず、これから通る柘植、そして伊賀上野あたりが明らかに豪雨になっている。

まだこの時点では遅れなく進んではいるが、この状況では確実に遅れが出るだろう。これから逃れる手段はただひとつ、柘植で草津線に乗り換えること。しかしそれは行きと同じルートで京都へ戻ることを意味する。最終的な判断を下す柘植駅は、もう2駅先まで迫っている。

判断材料のひとつが、JRの列車位置情報。ちょうど伊賀上野のひとつ前の島ヶ原駅に反対の亀山行きが停まっている。これが動くようであればたぶん大丈夫、このまま乗り続ける選択を取る。しかしこれに遅れが出るならば即ち止まっている合図。往復同じルートでも柘植で降りるのが最善策だろう。

窓ガラスに大量の雨水が伝う向こうに柘植駅が見えてきた。列車位置情報を開く。

・・・件の亀山行きの現在位置は、いまだ島ヶ原駅のまま。

そしてさっき開いたときにはなかった「7分遅れ」の注釈がついていた。これは決まりだ。
 

→柘植→石山→京都

大雨降る柘植駅に降りると、ちょうど向こうから雨の中草津線もやってきた。しかも京都まで直通する電車らしい。これは好都合。

草津線に乗り換えて数分後、案の定「関西線は大雨による徐行運転を行っています」という遅れ情報が車内のモニターに映し出された。ちなみに柘植で乗り捨てた加茂行きが終点の加茂駅にたどり着いたのは、どうやら定刻の40分遅れだったらしい。判断は間違っていなかった。

京都まで直通と書いたが石山駅で新快速に抜かれます、ということだったので、まあ3,4分の違いではあったが新快速に乗り換えて無事フィニッシュ。

京都駅で改札を出てモニターを見上げると、件の関西線の遅れ情報が出ていた。というか、四日市であの激走がなければ、おそらくもっと帰宅が遅くなっていたはずだ。四日市火力発電所まで往復4kmを40分で完歩した価値は大いにあった。

一応住んでいる京都府に隣接している三重県だが、改めて行けばめちゃくちゃおもしろかった。伊勢神宮や鳥羽あたりも18きっぷで十分回れる上に近鉄を組み合わせればぐんと幅が広がるので、また行こうと思う。といっても伊勢志摩はべつに近鉄でひょいっと行けちゃうんだけど。