SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

北陸&東海道新幹線一筆書き切符で行く 群馬埼玉爆食紀行

この2年、仲間内で計画があったもののコロナ禍で延期の連続だった栃木行きが決まった。東京集合、かつ最終日の翌日は授業日(仕事)なのでどっちみち新幹線は使うことになるが、かといって単純に往復を新幹線にするのもつまらない。

そこで以前から使ってみたかった、新幹線は新幹線でも片道を「京都→金沢→東京」というルートで向かう切符を買うことにした。つまり、まず京都から特急「サンダーバード」で金沢、金沢で北陸新幹線に乗り継ぎ東京、そして最後は東海道新幹線で京都、というぐるっと一筆書きする切符である。

実はこの切符、単純に東海道新幹線を往復するのとそう大して金額が変わらず、しかも特急券の買い方次第で様々な都市や駅で途中下車もできる。今回せっかく北関東の栃木県に行くので、この切符でついでに同じ北関東の群馬県、そして埼玉北部あたりも回る旅程を組んでみた。
 

京都→金沢→

というわけで、始発のサンダーバードに乗る。

ちなみに今回の旅程は、途中の糸魚川まではこの旅行と同じ電車で移動することになる。まさかこのパターンをもう1度やるとは思ってもいなかった。

せっかく金沢まで来たが、10分の乗り換えで慌ただしく北陸新幹線はくたか」に乗り換え。

いろいろあって北陸新幹線は自由席券しか確保しておらず、全車指定席の「かがやき」には乗れなくて必然的に「はくたか」に乗ることになる。で、この「はくたか」を逃せば次のはくたかは1時間半後、というわけで、今回は泣く泣く金沢をスルー。せいぜい土産を買うのが精一杯だった。

この「はくたか」はなんと金沢を出ると軽井沢まで延々と各駅停車、そこから安中榛名だけ飛ばして降りる高崎に停まる、というえらく時間のかかる「はくたか」。車内では週明けの授業準備をしていたが、あらかた片付いてもまだ降りるまで1時間以上ある。

さらに長野駅では10分ほど停まるというので、これ幸いと夏に訪れたときに買ってハマった「八幡屋礒五郎」の七味を友人の土産に大量購入。自宅用にブレンド七味も欲しかったが、これをやるには改札の外に出る必要があって特急券を買い直さなければならないので、泣く泣く断念。

その間に「かがやき」が追い抜いていく。ちなみにこの「かがやき」は金沢を25分あとに発車したもので、しかも京都で1本後のサンダーバードに乗ってもこの「かがやき」に間に合うので、その分金沢に滞在することができたことになる。やっぱ指定取ったほうがよかったかな。

この長野から自由席は徐々に客が増え始め、軽井沢まで来れば通路側もけっこう埋まっている。実は最初の旅程では軽井沢でも降りる予定だったのだが、やはり特急料金が一度リセットされて金額がかさんでしまうので諦めざるを得なかった。そのまま峠を越えて高崎へ向かう。
 

→高崎

京都を出て約5時間、ようやく群馬県は高崎に到着。ずいぶん幼いころに家族旅行で嬬恋に行った以来なので、少なくとも最後に群馬に来たのは四半世紀前になる。ぐんまちゃんとだるまの熱烈な歓迎を受けながらここで新幹線の利用はいったん終了。

事前に群馬県民の友人にリサーチしていろいろ勘案した結果、ここ高崎ではとにかく「食事」に重点を置くことにした。ちょうど新幹線を降りたら12時前だったのでランチタイムとしては最適である。

まずは日本三大うどんともいわれる水沢うどん。この存在は新幹線で、しかも長野をとっくに過ぎてから急に思い出した。年に1度は香川でうどん巡りをしている身からすれば、行かない訳にはいかない。調べると高崎駅ビルにひとつ水沢うどんの店があったのでそそくさと入店。

うどんだけ、と思っていたが、どう考えても昼のセットのほうが得なので、うどんは小サイズにしてセットを注文。これが当たりで、水沢うどんには欠かせない舞茸の天ぷらがめちゃくちゃ美味かった。そして水沢うどんと言えばざる、この喉越しがとても楽しかった。ざるにして正解。

会計後、今度は水沢うどんの店の向かい側にあったパスタ屋に行く。が、昼時なのでやはり少し並んでいる。というか、そもそも最初パスタ屋の予定だったのだが思った以上に並んでいて、あわてて水沢うどんの店に入ったのだった。

高崎はどういうわけかパスタが非常に有名な街で、今並んでいるこの「はらっぱ」という店は高崎ではかなりメジャーな店らしい。とりあえず店のイチオシらしい、赤唐辛子とにんにくのスパゲティを注文する。が、一番小さいサイズを注文したはずなのに、なんだこの量!

唐辛子の辛味と熱々のパスタで食べるそばから汗が退かない。そして大量にかかっている粉チーズがどんどんとろけていく。しかしこれがたしかに美味い。ついつい注文したパンをパスタソースに浸して食べるとこれまた非常に美味い。そりゃみんなパンもセットで注文するわけだ。

会計のレジの後ろに、どういうわけか横浜DeNAベイスターズのユニフォームが大量に飾られていて、これはなんですか?と店員さんに尋ねたら、ここの店舗責任者が大のベイスターズファンということだった。伊勢や三上など結構コアな選手のユニもあったので、責任者は相当なファンと見た。

で、会計を終えると2024年まで100円引きのクーポンをもらった。最初はそんなに行く機会がないので、と断ろうかと思ったが、まあひとつの土産だなと思っていただいて帰る。

もうひとつ、群馬で食べておきたいものがあったのだが、さすがにあの量のパスタと水沢うどんセットを完食するとかなり満腹になってしまった。実はもうひとつは弁当なのでまあ最悪車内でもいいか、と思い、腹ごなしに高崎市内を散歩する。

なんのビルだろうと思ったらなんとこれ、高崎市役所。でかすぎるだろう。

高崎城址を少し見物して、駅に戻る。結局たいして腹は空かず、例の弁当だけテイクアウトして、次の移動に備える。
 

高崎→熊谷

今回、高崎で降りたもうひとつの理由が、ここから東京方面に出るなら別に新幹線に乗らず在来線で移動できる、という点だった。このあたりは切符を買った大阪駅の駅員、そして高崎駅の駅員にも念入りに確認して、この切符で別に在来線に乗っても良いという確証を取れている。

というわけで、ここからは高崎線に乗る。ホームに降りたら乗れないと思っていた湘南新宿ラインが遅れて停まっていた。

高崎から先は夕方18時半に品川駅にいればいいのでその間は完全ノープラン。ただ、埼玉北部にかけてもおもしろい食文化が広がっているので、せっかくならこのあたりを食べておきたい。高崎駅で買った弁当にはまったく手を付けていないが。

先日、「土田晃之 日曜のへそ」というニッポン放送のラジオを聴いていたら、我が千葉ロッテマリーンズの小島和哉(埼玉出身)がゲストで出ていて、「フライ」というローカルグルメの話題になっていた。これがちょっと気になったので、ささっと店を調べて降りる駅を決定。

熊谷で降りる。

水曜どうでしょうのディレクター陣がたまにイベントをやっている熊谷の八木橋百貨店、こんなところにあるのかと思いつつ、途中見つけた銀行のATMでお金をおろしてから、「フライ」を出すお店に入る。ちなみにこのとき15時半、店は16時で終了だったのでちょっとギリギリだった。

で、この「フライ」。

正式名称はどうも「フライ焼き」というらしく、キャベツたっぷりの薄いお好み焼きと言ったような感じ。大阪のお好み焼きとはまたちょっと違う印象を受ける。店先にやたらとデカいキャベツの段ボールがあったのはこれか、と納得する。

まあそれはいいのだが、さっきの水沢うどんとパスタがまだ胃に残っていたので小サイズを注文したはずが、なんだこの大きさは!想定の5倍以上の大きさで出てきた。「日曜のへそ」のトークの感じで言えば小腹を満たすくらいの大きさだと思ってただけに、ちょっとたじろぐ。

しかし残すわけにはいかない。もちろん食べてみると非常に美味い。食べているうちに電話がかかってきて、どうやら「フライ」の注文がかなり入ってきているようだ。奥の厨房がにわかに慌しい様子が伝わってくる。

どうも家族でやっている店のようで、こういう雰囲気が地元でも親しまれているんだろうなあと思いながら、想像より大きかった「フライ」をすべて平らげた。
 

上熊谷→熊谷

しかしさすがに食べ過ぎた。ここまで熊谷駅から歩いて15分。再び歩くのが億劫なレベルに達している。このあと熊谷で少し寄るところもあるのだが、歩いていくうちに胃の中の食べ物が活発に動くのが明らかによく分かる。

店から5分くらい歩いたところに、秩父鉄道上熊谷駅があった。時刻表を見ると10分もしないうちに熊谷行きの電車が来るっぽい。せっかくなので乗ってみることにした、というか歩いて熊谷駅まで戻るのは無理だと判断した。

学生の帰宅ラッシュで座席がほぼほぼ埋まった状態でやってきたので、どうせ一駅だからとぼけーっと立って熊谷駅に戻る。ちょっとした休息になった。というか、このあと2時間弱かけて品川へ移動して夕飯の予定なのだが、これ夕飯食べれるのか???
 

熊谷→

一抹の不安を抱えつつ、熊谷駅で少し用を済ませて、再び高崎線に乗り東京都心を目指す。本当は埼玉北部では有名な「ゼリーフライ」も食べたかったのだが、熊谷周辺にこれを扱っている店が見当たらず、かといって本場の行田や吹上あたりで降りても夕方は店じまいしているようだったので断念。

日が暮れゆく高崎線を一気に南下していたところで、ここで大問題が発生する。

桶川を出たあたりで「東海道線運転見合わせ」という文字が車内の案内表示に出ていることに気がつく。なんとこの先辻堂駅で人身事故があったらしく、東京駅から先が止まっているらしい。困ったことに目的地は東京駅の先の品川。つまり何かしらの影響は間違いなく被る。

というか、そもそも熊谷からなんで小田原の手前、国府津行きの電車に乗ったかと言えば、この電車に座りさえすれば東京都心の帰宅ラッシュで立ちんぼうになることなく品川まで移動できるからに他ならない。これがうっかり途中の駅で停まってしまえば、いろいろと計算が狂ってくる。

一番最悪の想定は上尾など、高崎線しかないところで停まることだったのだが、これは大宮までたどり着いたことでとりあえず回避はした。が、大宮を出て浦和へ向かっている段階で、「この電車は国府津行きから上野行きに変更します」という最後通告を受けてしまった。
 

→上野→品川

しかも上野の手前まで来て、なにやら信号待ちとやらで動かなくなってしまった。えっこれまさか赤羽で降りて京浜東北線が正解だったか?と思ったが、もうどうしようもない。向こうに見える鶯谷駅をひっきりなしに発着する山手線と京浜東北線を恨めしく眺めるしかない。

ようやっと上野で降りて、国府津行きのはずが上野で折り返して籠原行きになった高崎線をさっさと捨てて山手線ホームへ急ぐ。結局、夕方の東京都心の帰宅ラッシュに大荷物で突撃する羽目になってしまった。が、奇跡的に山手線は少し空いていて、なんなら秋葉原で座ることができるくらいだった。

まあ降りた品川で積み残しが出るほど異常な混み具合になっていたわけですが。

これが東京の帰宅ラッシュかと戦慄を覚えながら、少し用を済ませて30分遅れで旅行本隊の夕食会場に合流。しかし、案の定水沢うどんとパスタとでっかいフライは消化しきれておらず、あまり食は進まなかった。ただ身体が生野菜を欲していたらしく、サラダがものすごく美味かった。
 

品川→京都

なお、切符のほうはこの日の品川駅での途中下車をもっていったん旅程を中断する形にして、別ルートで栃木をまわり、

2日後、再び品川に戻ってきて帰りは東海道新幹線で一直線に京都へ。

最終的に一緒に帰る同行者と2列席が並びで取れそうだったのでのぞみの指定席を確保したのだが、しきりに「自由席が大変込み合っています」「空いている指定席に座っていただければ指定券を発券します」という放送があったので、自由席だと座れていたか限りなく微妙だったっぽい。

自由席でいいかな、とかなり悩んだが、これはちゃんと指定を取って正解だった。
 

話は戻って、弁当の正体

ところで、本来昼に水沢うどんとパスタのあとに食すべく、高崎駅で買って結局東京にたどり着いてもなお開くことがなかった弁当とは。

群馬ではイベントごとなどでよく使われるらしい「登利平」という店の鶏めし弁当。一時は同行者の誰かに食べてもらうことも考えたが、結局このあと更に移動して深夜に入った宇都宮のホテルで夜食としていただいた。ちなみに消費期限は数時間過ぎていた。

冷めても十分美味かったが、温かい状態だともっと美味かったと思う。もも肉と胸肉両方入ったものを買ってみたが、個人的にはチャーシューっぽさがある胸肉のほうが好きだな。

しかし結局この日はどれほどのカロリーを摂取したのか。そもそも北関東の食事は量が多い!という感想を持ちつつ、今回食せなかったゼリーフライやだるま弁当など、いつ来るかわからない次回へのリベンジに燃えたのであった。