2日目はこちら↓
岩国駅→錦帯橋バスセンター
岩国の朝は早い。6時過ぎには起床し、最小限の荷物だけ携えて一時外出でホテルを出る。岩国駅からバスに乗るわけだが、いまいちどれに乗っていいかわからない中「快速」と出したバスの経由地に「錦帯橋」の文字を見つけたので、とりあえずそれに乗る。
しかしこのバス、乗換案内で最初見た行き先ではなく「徳山駅行き」と言っている。徳山はここから鉄道でもそこそこ時間がかかるが、錦帯橋までは果たしてどれくらい時間がかかるのだろうか。そうこうしているうちに自分ともう1人高校生だけを乗せてバスは岩国駅を出発する。
結局、「快速」とあって約15分ほどで錦帯橋に到着。意外と近かったが、道中ずっと不安でGoogleマップとにらめっこしていた。
今回、2日目に広島市内ではなくわざわざ岩国で投宿したのはほかでもない、この錦帯橋へ行くため。このあとの行程的に「最終日の早朝」しか行くチャンスがなかった。初めて来たが、錦帯橋のバックに見える岩国城もこれまた立派である。
この週末の大雨で、川はかなり濁流と化していた。
一応錦帯橋を渡ったのだが、渡った先で料金が必要なことに気が付いたのだが小銭がまったくない。当然朝7時過ぎなので窓口も開いておらず、しょうがないので一旦スルーして近くのコンビニで小銭を作り、戻って料金を支払った。しかしほぼフリーパス状態で渡る人が結構いたのは気になったが。
山口県名物・黄色いガードレールも間近で見られた。
錦帯橋バスセンター→岩国駅
帰りの岩国駅行きのバスは、道路の向かいのバス停に停車したあと、丁字路を思いっきりUターンして自分が待つ乗り場に入ってくるという見たことがない豪快な着き方をしていた。このバスは快速ではない上、途中行きとは違うルートを通って岩国駅を目指したので少し時間がかかった。
せっかくなので岩国駅周辺を散策した後にホテルに戻ったら、朝風呂の時間ギリギリだったので大慌てでどっぷり浸かる。10時には宮島口駅にいたかったので電車の時間を軽く調べ、9時過ぎにチェックアウトして岩国駅へ向かったのだが、ここでトラブルが発生する。
岩国→宮島口
岩国を9:31に出る広島行きの電車に乗れば、予定通り10時に宮島口駅にいられるはずだった。のだが、岩国駅の改札に来るとその9:31発の電車の表示がない。もちろん時間には余裕で間に合っている。
あれもしかして休日ダイヤを見たか?と思って駅員に確認したところ、車両トラブルでその電車が運休になったという。ちなみに後で知ったのだがトラブルの中身は「車内から粉のような不審物が発見された」ものだった。いやいやそんな。
結果的に次に岩国を出る広島方面の電車は9:58発、つまり現時点でなんと30分も時間ができてしまった。もちろん「10時に宮島口駅」という予定もこれで完全に破綻。これなら30分ホテルの部屋でくつろいで出てくればよかった。
と思っても後の祭り。30分後の電車で宮島口駅を目指す。
さてなんで「10時に宮島口駅」にこだわっていたのかというと、宮島口でどうしても「あなごめし」を食べたかったため。
宮島口駅と宮島行きフェリー乗り場の中間地点にある「うえの」は名店として知られており、是が非でもここのあなごめしを少し遅い朝食にしたかった。ちなみにこのためにホテルの朝食はわざとつけなかった。人気なので10時の開店すぐに入りたかったのだが、もう20分過ぎている。
行ってみると、やはりもう開店20分で満席だった。あの電車運休があまりにも痛恨過ぎた・・・と思ったら、
なんと5分ほどで1席空いて座ることができた。そしてあなごめし、普段寿司にいってもアナゴなんてめったに手を付けないのに、このアナゴはめちゃくちゃ美味しかった。アナゴってこんなに弾力がある食べ物だったのか・・・。
宮島口→宮島
ここまで来たので10何年ぶりに宮島へ渡る。
船に乗っている間もとにかく外国人観光客だらけの宮島。インバウンド効果がものすごい。どういうわけかソフトバンクホークスのTシャツを着た外国人の少年の兄弟までいた。
店に入ろうとする鹿にぎょっとする。
厳島神社の境内に入ったのはたぶんはじめて。
一番キレイに鳥居が見えるスポットは長蛇の列ができていた。
この海沿いにいる鹿、という光景が実に宮島らしい。奈良公園では少なくとも見ることがまずない風景である。
宮島→宮島口→広島→原爆ドーム前
宮島のフェリー乗り場に着いたら目の前で直近のフェリー乗船が打ち切られてしまった。次のフェリーは15分後、しょうがないので待合室でぼーっと待ち、一番乗りで乗船して最前席を確保する。
宮島口駅に戻って再びJRで広島市内へ。
広島駅で路面電車の一日乗車券を購入し、さっきいたはずの宮島口行きの路面電車で市内中心部へ向かう。まず原爆ドーム前で下車して、今年オープンしたサッカー場・エディオンピースウイング広島を見物する。
なんとタイミングよく無料で中を公開していた。10年以上前、たまたま愛知県の豊田に行ったら豊田スタジアムが無料公開されていて見に行った記憶があったが、Jリーグのスタジアムに足を踏み入れたのはひょっとしたらその時以来だったかもしれない。
広島の中心街にこんな立派なスタジアムがあるのがすごい。最前列からのピッチの近さもすばらしかった。
原爆ドーム前→広島駅
遠くに広島城を眺めつつ、昼食に広島の友人に教えてもらった紙屋町のお好み焼き屋へ行こうと路面電車に乗ったところで、またもトラブルが発生。紙屋町で降りずに、広島駅まで急きょ戻る。
この「松山・広島割引きっぷ」は、切符購入時点で行き帰りの新幹線などの指定席を予約するのだが、帰りに関しては後日の指定席予約も可能になっている。今回広島の滞在時間が読めなかったので、行きの新大阪→松山は予約したが、帰りの広島→新大阪の指定席はわざと取っていなかった。
で、紙屋町へ向かう道すがら、この指定席の予約をしようとアプリを立ち上げたところ、行きに出てきたはずの指定席予約画面が全く表示されないことに気がついた。先に予約して広島駅で発券、を想定していたのだが、これだとそもそもアプリ上で指定席を予約すらまったくできない。
切符自体はまだ明日も有効なのだが、この日大阪に帰ることにしていたので「帰れない」となるととんだ大事である。別に新幹線に乗る直前でもよかったのかもしれないが、念には念を入れて帰りの新幹線の指定を取るべく一度広島駅へ戻ることにした。
するとみどりの窓口が大混雑。このときにも書いたが、最近のJR西日本の大きな駅にあるみどりの窓口はあまりにも混みすぎていると思う。最初券売機で処理しようとしたのだが、危うくすでに持っている広島→大阪の運賃まで払わされそうになり、仕方なく長蛇の列に並ぶ。
否が応でも耳に入る違う客のやり取りの内容に、「それ、絶対券売機で買ったほうが早いやん」と思わずツッコミを入れそうになるほど大行列に辟易しつつも、なんとか帰りの新幹線の指定を取ることができた。これで今日中に大阪へ帰ることができる。
いまからまた紙屋町へ向かうのも面倒になったので、広島駅ビルにある「麗ちゃん」でお好み焼きを食べる。違う店に行きたいと思いつつも、結局いつも広島に来るとここで餅入りを注文している気がする。裏を返せば毎回来たくなるほどここが美味い、ということなのだが。
広島駅→広島港
気を取り直して観光再開。せっかく路面電車の一日乗車券があるので、広島市内でもまだ行ったことがない場所へ行ってみようと思い、適当に来た路面電車で終点の広島港へ行く。
昨日乗った松山行きの高速船スーパージェットは最終ここに到着する。ほか、ここでは瀬戸内海にあるいくつかの離島へ向かう船も発着しているが、ここで得た知識がこのあと大きく役立つとは思ってもいなかった。
僕はWikipediaの事件・事故の項目を熟読する妙な趣味があるのだが、この広島港、そして昨日いた松山観光港は1970年に起こった「瀬戸内シージャック事件」の舞台となった場所である。妙なスリルと緊張感を持ちながら、広島港をあとにする。
広島港→中電前
「広島でも行ったことがない場所」を、と思い、広島港でふと平和記念資料館の開館時間を検索すると、この時間はオンラインで事前予約した客のみ入館できるということだったので直近の時間を予約して行くことにした。広島港から路面電車に乗ると、なんと誰も乗っていなくて驚く。
一度コンビニに立ち寄るために下車し、後続の路面電車に乗って中電前で降りる。時刻は17時半、帰宅ラッシュに差し掛かる時間帯で通勤客が増えてきた中、平和記念公園にある広島平和記念資料館へ。
前回広島に行ったときにも書いたが、広島は三角州上に発達した都市で、州をつなぐ橋が非常に多い(路面電車に乗っていてもしょっちゅう橋を渡る)。その中に3つの州をつなぐT字型の構造をした相生橋があり、1945年8月6日の原子爆弾投下時はここが目標地点とされた。
今回平和記念資料館にいったのは、果たしてその当時の相生橋は上空から見てもわかりやすかったのか?という点を知りたかったのが大きな理由の一つだったのだが、たしかに1945年当時の上空写真を見ても相生橋は非常にわかりやすく、そりゃ目標地点になりうるわな・・・と実感。
展示スペースは外国人観光客が全体のほぼ半分くらいいた印象。みな無言で展示物に対峙していた。遺品の持ち主がひとりひとりどういう状況であの時間を迎え、その後どうなったのかという克明な記録をずっと読み入っていた。
なにかの資料で見た記憶のある治療の様子の写真の撮影場所が「似島」とあり、さっき広島港で似島行きのフェリーがあったがあの似島?と思って調べたところ、似島では原爆投下後何百人もの負傷者が船で運ばれたという歴史があったということだった。この話はまったく知らなかった。
昨日の大和ミュージアムにつづいてまた気がついたら閉館時間ギリギリになっていた。暗くなり始めた相生橋を渡り、まだ路面電車に乗る。
原爆ドーム前→土橋
3日目はトラブルが立て続けに発生してしまった。このあと帰りの新幹線で「むさし」のおむすび弁当を食べようと思っていたのだが、広島駅の店舗はなんと休業日。広島平和記念資料館をあとにした時点で唯一間に合いそうなのが土橋の「むさし」・・・ということで、そこへ向かう。
レストランはオーダーストップがかかっていたがテイクアウトはなんとか間に合った。これで夕飯抜きもなんとか避けられる。
土橋→広島駅
広島駅に戻ってひとまずの移動は終了。
時間があいたので少し散策する。将来この高架をのぼって広島駅ビルに直接路面電車が発着するようになるらしい。とんでもない風景になりそうだ。
「apex」なる、どこのシューティングゲームなんだと思う路面電車が停まっていた。もうすっかり夜になった、ということは2泊3日の旅も終わりを告げようとしている。
広島→新大阪→大阪
帰りの新幹線は以前の経験から絶対に「のぞみ」ではなくて「みずほ」か「さくら」と決めていた。のぞみとは違う車両が来る「みずほ」「さくら」は、指定席車両でもグレードの高い席に座ることができる。今回はたまたまいい時間にあったのが「みずほ」だったのでこれに乗る。
この車中でむさしの「若鶏むすび」と「山賊むすび」をいただく。広島に来たならこのおむすびは絶対に欠かすことができない。
広島から新大阪までは1時間強。のんびりとおむすびを食べていたらもう岡山を出発していて驚いた。あっけなく新大阪に着けばもうそこは現実。乗り換えて一駅、大阪駅にたどり着いて「松山・広島割引きっぷ」の使用を終えた。
仕方のないことだが、やはり愛媛でほぼずっと大雨だったのが悔やまれる3日間となった。とはいえ、はじめての松山は自然も近く温泉もあってすばらしい街だった。まだ愛媛で行けなかったところもたくさんあるので、天気の良いシーズンにまたこの切符を絶対使いたい。