SH Diary.

かつて不登校だったひとが野球や遠出、日常とたまにちょっとまじめなことを書いてます。

不登校だった僕と、名古屋大学

週末は久しぶりに名古屋へ。

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それにしても名古屋駅前の変貌ぶりが凄まじい。

実は中学生のころ、名古屋大学に行きたかった。理由は2つある。名古屋という街の魅力に惹かれたことと、名古屋には名古屋大学しかないと思っていたこと。

そのころ僕は学校に行っていなかった。つまり不登校だったので授業は受けていない。まして家やほかの場所で勉強した記憶もほとんどない。しかし名古屋大学と言えば東海地方屈指の難関大学である。「名古屋大学に行きたい」と思いながら、現実的ではないことも中学生の僕は理解していた。

不登校だった僕は同級生に会う心配のない、遠くの街に出かけることが好きだった。うちを始発で出れば、朝の9時前にはたどり着ける名古屋という街はとても手軽に出かけることができて、18きっぷのシーズンになると必ず名古屋へ通った。行くほどに名古屋の魅力に取り憑かれた。

栄や大須と言った定番の中心街はもちろん、当時名古屋港にあったイタリア村なんかも幾度となく行ったが、藤が丘や新瑞橋など、別に観光地でもないような駅の近くもよく散策した。そして茶屋が坂とか自由ヶ丘とか、名城線沿いの閑静な住宅街までくまなく探検したこともあった。

なのに、どういうわけか「名古屋には名古屋大学しかない」というヘンな思い込みが、僕の中にあった。

いまとなっては、愛大(愛知大学)、名城、南山・・・などの私立はもちろん、名工大名市大など名古屋大学(名大)以外に国公立大学が名古屋にあることはよく知っている。だけど、そのころの僕は何も知らなさすぎて、「名古屋といえば名古屋大学」という固定概念にとらわれすぎていた。

僕は中学の出席日数がたぶん1ヶ月もない。にもかかわらず卒業文集にはきちっと名を残している。そこで僕はこんなことを書いていた。

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名古屋市内の大学に行きたい。名古屋から近い岐阜の大学でもいい。

名古屋市内の大学」と書けばいろいろ大学を知ってそうなものだが、後年大学生になってから「南山」を「ナンザン」と読むことに気づいたし、女子大である「椙山女学園」も読めなかった。つまり名古屋(愛知)がここまで大学の多い街であることも、まったく知らなかった。

なのでここでいう「名古屋市内の大学」とは「名古屋大学」そのものだと言える。

結局、その後高校を2度転入したりして様々な混乱があり、名古屋大学を受験することはなかった。しかしこの文集の予知能力はすごいもので、進学先として選んだのはなんと妥協案として記していた岐阜だった。ちなみに宣言通り進学したことに気付いたのは大学を卒業して随分経ってからである。

岐阜での大学生活は、はじめ2年くらいは前途多難で毎週実家に帰ったり、休学寸前まで追い込まれたこともあった。でもようやく生活に慣れて、友達がほしいなと思うようになったとき、自由に学外でサークルを探すことにした。これは自分の大学が割と小規模で人脈が限られていたこともあった。

このとき僕は「絶対に名古屋大学のサークルに入るぞ」と思っていたわけではない。別に気に入れば他大学のサークルでも良かった。でも、大学生の僕が何気なく選んだサークルは、一応インカレ*1とはいえ、なんの因果か名古屋大学を基盤としたサークルだった。

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名大図書館のスタバでお茶もしたし、卒論資料を探す目的で図書館にも入った。学食にも行ったし、全学教育棟のファミマで野球のチケットが取れず頭を抱えた。たまたま行ったらその日が合格者発表の日で、どさくさに紛れて合格発表の掲示板の前で記念撮影もしたし、サークル勧誘活動に紛れたこともあった。

確かに名古屋大学の授業は受けていない。学生証も持っていない。でも、「名大生」の気分は味わっていた。

繰り返すが僕は中学の出席日数がたぶん1ヶ月もない。授業もほとんど受けてないし家やほかの場所で勉強した記憶もほとんどない。でも奇跡的に岐阜の大学に受かって、お気に入りだった名古屋の街がぐっと近くなった。そして、月イチ程度だけど、ちょくちょく足を運ぶようになった、あの名古屋大学

そのとき、ふと「名古屋大学に行きたい」と思っていた、中学生のころの自分を思い出した。

そして、こんな目標の叶え方があったんだ、と思った。

名古屋大学卒業」の肩書はもらえなかった。というかたびたび出入りしていた割に名古屋大学へ学費を払ったわけでもない。でも僕は、あの鬱積とした不登校のころに漠然と思い描いていた「名古屋大学へ行く」という目標を、サークル入部という変わった形で叶えてしまった。

卒業資格がないと意味がないと言われるかもしれないが、僕はこれはこれでいいと思っている。

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そして、週末の名古屋。

この日は、件の学生時代のサークルの同窓会。久しぶりに現役学生とワイワイ騒いでいたら喉が潰れて、2次会への移動途中にコンビニへ駆け込んで慌てて龍角散を買った。3次会を終えて外に出ると、朝日に照らされた名駅のビル群がそびえ立っている。そういえば、何本か増えている気もする。

僕はこの名古屋という街でいろんな人と出会った。行くと「お茶しましょう!」と誘ってくれる後輩もいれば、「オマエ、結婚式絶対来いよ」と言って本当に招待状を送ってきた同級生もいる。もうこの街とは一生の付き合いになるんだろうな、と思いつつ、眠い目をこすって帰りの近鉄電車に乗り込む。

オマエ、10年後名古屋ですんごい楽しい時間が待っているぞ。

中学生のころの僕にそう言ったら、彼はどんな返事をするだろうか。

*1:他大学の学生でも参加することのできるシステム