SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

ただサンダーバードで金沢へ行くだけのはずが超絶大変だった話

毎年1回ある仲間内の旅行が今年も行われた。土曜集合日曜解散の日程で、今年の行き先は金沢。

あまりに楽しみすぎて、早々と土曜朝一番の金沢行きサンダーバードの指定席を確保した。惜しむらくは旅行の前日、金曜日に出張を伴う仕事が入ってしまい、前乗り組との前夜祭には参加できなさそうなこと、ただそれだけだった。

雲行きが怪しくなってきたのは、旅行の10日ほど前のこと。

その前から、当日の金沢の天気が「雷マークがついた傘」のマークで示されていることは重々承知していた。ところがそれが「爆弾低気圧」という呼び方に変わり、おいおいこれは大丈夫なのか、まあ最悪旅先で雨に降られるくらいなら別にいいか・・・と思っていたのだが、

旅行の2日前になり、JRが急に「運転見合わせの可能性あり」と言い出した。しかも朝9時から。旅行は土曜の朝10時に金沢駅集合なので、これは金沢にたどり着けない可能性がでてきた。なんでもない日なら即キャンセルなのだが、年1の旅行となればそうもいかない。

今回指定を取った京都を土曜朝一番に出るサンダーバード(以下「朝イチのサンダーバード」)は過去2度、なんなら前回の仲間内の旅行である北関東へ行ったときも乗っていて、金沢には9時10分くらいに到着する。つまりギリギリ運転見合わせがある時間帯と重なっている。

もちろん天候の話なので前倒しになる可能性もある。だがこれより早く金沢へ着く手段はないため、急遽前の日の夜に金沢入りすることにした。決めたのは前々日の夕方。つまり決めた時点で約24時間後にはサンダーバードへ乗ってることになるという、慌ただしい予定変更になった。

金曜日、出張を伴う仕事には旅行の準備を持って向かい、退勤後そのまま大阪駅、もしくは京都駅からサンダーバード(以下「夜のサンダーバード」)に乗って金沢へ向かう、ということになる。

しかし、これが思った以上にたいへんだったのだ。

まず前泊のホテル。今回は金沢駅近くのルートインを利用した。ホテルの窓からは金沢駅に通じる高架線路が見え、新幹線もひっきりなしに通る環境。だがこの風景を見るのにも紆余曲折があった。

前泊を決め、もともと土日に泊まる予定のホテルにも空きがあることを確認した上で、agodaで手頃なビジネスホテルを検索したら、金沢駅近くの東横インが1室空いていた。朝食付きで都合もいい。すぐに必要事項を記入して予約ボタンを押す。

その後いったん席を外して、数分後メールを確認したらしっかりagodaから届いていた。のだが。

そのメールは予約完了のものではなく、予期せぬエラーで予約できてないぞお前、という内容だった。いやちょっと。

おそらく記入している間に先に部屋を取られたのかもしれないが、東横インの公式サイトも満室と出たので、これで東横インの線が消えた。しかし困ったことに東横インの価格帯のホテルはもうなく、次の価格帯は大体+1500円ほど出さねばならない。

そこをケチってどうするという話なのだが、結局保険でキープしていたルートインの予約を取った。ルートインは当日キャンセル返金不可なので、この瞬間正式になにがなんでも金曜夜に金沢にいなきゃいけないことになった。前泊を断念することはすなわち、8500円をドブに捨てることと同義になる。

ちなみにいざ現地に行ってみたら、東横インとルートインはほぼ隣同士だった。

さて、今度はサンダーバードである。結論から書けば無事夜のサンダーバードに、しかも指定席を確保して乗ることができた。しかしホテル以上にこっちのほうが大変だった。

まずそもそも持っていた朝イチのサンダーバードの指定券は、WEB早割で買っていた。そしてそれを最寄り駅のみどりの窓口で発券も済ませていた。とりあえずこれを乗車券変更すれば問題ないなと思い、再び最寄り駅のみどりの窓口へ行ったら、駅員がわらわらと出てきて騒ぎになる。

ネックになったのは、WEB早割で買ったこと。

つまりもう乗車日が確定しているものであり、これは正規の乗車変更ができないらしい。「運休が確定しました」ならまだしも、「運転見合わせするかもしれません」程度であればまだ動く可能性があるため、かなりややこしい手続きが必要だと言われてしまった。

その手続きとは、

  1. 今持ってる朝イチのサンダーバードの指定席券と乗車券は、無手数料で払い戻す
  2. 改めて夜のサンダーバードの指定席券と乗車券を、正規運賃で買い直す
  3. これをWEB予約ではなく、直接みどりの窓口で行う

というものだった。この段階では「運休が確定しました」という情報が出れば一気に手続きが変わるので、朝イチのサンダーバード払い戻しは確定するも乗る直前に払い戻すことにして、いったん持ち帰ることにした。

しかしこれが大失敗だった。

前泊当日、出張終わりに少し乗り換え時間があったのでとあるターミナル駅みどりの窓口に立ち寄ったら、平日昼にも関わらず大行列ができていた。とりあえず並んだが、どう考えても乗り換えの時刻までに窓口で手続きできるとは思えない。すぐに離脱して職場へ戻る羽目になった。

この結果、退勤後いよいよ金沢へ移動を始めるというところでサンダーバードの変更手続きをするしかなくなった。夜のサンダーバードにはいろいろあって大阪駅ではなく京都駅から乗ることにしたので、まずは京都駅へ向かう。

この時点で夜のサンダーバードの指定席には余裕があるのを確認していたので、ここまで来たら手続きして乗るだけの状況にはなっていた。ところがここで「手続き」という壁が、想像以上に高く高く立ちはだかっていた。

京都駅に着いたのは18時すぎ。この時間、京都駅からのサンダーバードは直近の18:10発から30分間隔であり、18:10発は無理にしても18:40発なら余裕で間に合うなと思い、軽く段取りを頭で思い描いた。

だが、なんとこの18:40発のサンダーバードには乗れなかった。

先述したが、京都駅から金沢に向かう前に、必ず朝イチのサンダーバードを払い戻し、正規料金で夜のサンダーバードの指定を取らなければならない。そしてこの手続きにはみどりの窓口へ行く必要がある。で、このみどりの窓口が、やっぱりここでもとんでもない行列だったのだ。

並び始めたのが18:15ごろ。窓口以外に係員はおらず、どれくらいの時間で窓口対応できるのか見込みもわからなければ、「20分後のサンダーバードに乗りたいんです!!!」と申し出ることもできない。もはや途方もないこの行列に並ぶことしか手段はない。

ようやく自分の順番がきたのが並び始めてなんと約20分後。発車5分前でやっと回ってきた窓口にここまでのチケットの説明と、何が何でも18:40発のサンダーバードに乗りたい旨を告げたのだが、窓口からは案の定「たぶん難しいと思います」と釘を刺されてしまった。

結局その30分後のサンダーバードの指定を取ったのだが、実はこの時点で18:40発のサンダーバードは数分遅れており、かなり余裕で間に合っていた。もちろんもう18:40に乗れるわけもなく、なおのこといろいろ損した気分になりながら、ヨドバシの地下のロピアでお茶と食料を買って、改札へ。

こうしてあらゆる問題が起こりながらも無事夜のサンダーバードに着席し、約2時間揺られて金沢へ。とりあえずこれで翌朝10時に旅行に合流することができる。

金沢駅に降り立ってふと、春には北陸新幹線敦賀まで伸びるゆえ、「サンダーバードで金沢に降り立つ」ということはもう最後だな、と思ったりした。

翌朝。

やはり金沢は大雨、朝食会場から見える木も大きく揺れている。前泊のおかげで少しゆっくり朝食ビュッフェを楽しみ、大浴場で朝風呂を浴びてから部屋に戻ると9時すぎ、予定なら乗るはずだった朝イチのサンダーバードがそろそろ金沢に着くころである。

ふと、JR西日本の列車走行位置を見た。

サンダーバード1号がまもなく金沢駅に着くらしい。

その瞬間、外からガタンゴトン、と音がする。

36時間前、途中で止まるかもしれないと諦めた朝イチのサンダーバードこと「サンダーバード1号」は、ほぼ遅れなく金沢駅へすべりこんだ。

こうして、あれだけ大慌てで前泊のホテルを取り、あれだけ多くの時間をかけて大混雑のみどりの窓口で割引切符を払い戻した上で正規運賃の切符を買った意味が、たいしてなくなってしまったのだった。

・・・こういうこともあります。