SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

東京→京都、18きっぷで寄り道しながら行き当たりばったり旅のススメ。

いつも関東に行くとだいたい1日は時間を取って東京や横浜あたりをぶらぶら歩くようにしているのだが、今回は無理繰り旅に出たので片付かないものも片付かないまま関東に来てしまった。もう目をつぶって千葉での試合の翌日1日東京で遊ぼうかと考えていたのだが、考えれば考えるほどそうはいかないことに気付く。

結局、翌朝新宿あたりをぶらぶら散歩しただけで、朝の10時に新宿駅を出る湘南新宿ラインでさっさと東京を後にする羽目になった。時間があればたまたまこの日やってた目黒のさんま祭りにも立ち寄りたかったのだが、すでに大混雑の情報もあったので泣く泣く諦める。

ところでこの日は今夏の18きっぷが使える最後の週末で、千葉への移動中は大勢の18きっぷユーザーで乗る電車乗る電車超満員だった。途中下車で時間をずらすと試合に間に合わなくなるので、泣く泣く乗り通したが、正直疲れた。今日も今日で、静岡あたりがとても混んでそうな気がする。

と言う訳で、帰路はガンガン途中下車していくスタイルでのんびり京都まで戻ることにした。溜まったタスクは週明けから片付けるから許して、と思いながら。
 

降りてみたかった駅で降りる:函南駅で途中下車

そういえば今夏はバタバタと忙しく、前の週の福岡とこの千葉がまともな遠出だった。ここ数年毎年サークルの合宿とかで山奥に行って星空の下『君の知らない物語』を聴くのが定番行事なのだが、今年はついにそれができなかった。でもせっかくなので山沿いの空気は吸いたい。

と言う訳で、こんなところで降りてみた。

ここは静岡県函南伊豆半島の付け根にある町で、西へ向かう東海道線だと熱海の次の駅にあたる。ちなみにあの内田篤人の出身地でもあるらしい。実はこの駅、以前からなんとなーく気になっていて、こうでもないとなかなか降りる機会ないぞ、と思って今回降りてみた。

ちょっと山を上がると函南駅が見晴らせる風景に出会えた。

このあたりは函南町の中心地から少し外れているらしく、東京と神戸をつなぐ大動脈の沿線とは思えないほどの緑の多さに癒された。時折聞こえてくる新幹線の通過音が心地良い。
 

突然ひらめいた駅で降りる:清水駅で途中下車

函南から浜松行きに乗り、次の三島駅で端っこの席に座ることができた。このままだと割と楽に浜松まで行けるのだが、何せ昼をとっくに過ぎて腹が減ってきた。そこで静岡駅で降りて、いつもの新静岡セノバにある『さわやか』でげんこつハンバーグでも食べることにした。

が、そのプランは、興津という駅を出た直後にあっさり崩壊する。

『次は清水です』という車内アナウンスを聞いてハッとひらめいた。そういえば最近ものすごくうまい刺身とか海鮮丼食べてないなあ。清水は漁港もある街だし新鮮な魚が気軽に食べられるんじゃないか。清水駅に向けて走る約5分間でさっさとiPadを取り出して情報を検索する。

よし、これは行けそうな予感。

慌てて荷物をまとめて、ちびまる子ちゃんの街・清水に降り立った。軽く雨が降り出す中、目星をつけていた清水駅前の魚市場へ足を運ぶ。

はい、当たりでしたー。

実は清水港はマグロの水揚げ日本一だそうで、同じく駿河湾で水揚げされた桜海老生しらすとの三色丼をいただく。これで1280円は安い!個人的には魚に中途半端に火が通らないよう、ご飯が常温で出てきたのがものすごく嬉しかった。

会計のときに店員のおばちゃんと雨すごいですねー、なんて世間話してたら傘を持ってない僕に店の奥から傘持ってきてくれようとしたり『風邪引かないでねー!京都までお気を付けて!』と心配してくれて、なんかすごく良い店に来てしまった。また絶対来よう。

嬉しくなって朝霧高原のソフトクリームで締め。

雨が本降りの清水駅前で濡れながら信号待ちしてたら、今度は通りがかりのおばちゃんがさっと傘に入れてくれた。なんなの静岡県民。もう大好きだわこの街。「ピエール瀧のしょんないTV」が普通に観られるだけで羨ましすぎるのに!
 

懐かしの駅で降りる:名古屋駅で途中下車

ますますひどくなる大雨に突っ込むも、ほぼ遅れなく名古屋まで来た。電車乗って寝てるだけなのに妙な空腹を覚えたので、ここで食事することにする。

で、名古屋駅といえばやっぱりこれだろうということで。

ホームの立ち食いきしめんへ。そこでうっかり『味噌きしめん』を見つけてしまい、思わずボタンに手が伸びた。名古屋まで30分、やはり大いなる味噌の文化である岐阜に5年間住むと、いくら根が関西人でもたまにこういう赤味噌の味を欲してしまうのが不思議だ。

汁までしっかり飲み干して店を出る。

懐かしいね、名古屋駅の西側。このビックカメラでよく買い物したなあ。一時毎週のようにここに来てたのが本当に懐かしい。変わらない風景に安心しつつ、またこの街はゆっくり遊びに来なきゃ行けないと思って、再びホームに戻る。
 

あえてルートを変えてみる:四日市駅で途中下車

ここから再び東海道線に乗れば関西まで一直線だが、いかんせん名古屋からだと座れるか分からない。そこで思い切ってこれに乗ることにした。

伊勢方面に向かう快速『みえ』号。そのまま乗りっぱなしだと鈴鹿や津の時点で取り返しがつかなくなるので、手前の四日市で降りる。四日市と言えば工場夜景、ちょうど乗り換えの電車まで40分もあるのでぶらぶら見に行こうとしたら、なんか屋根がうるさいくらい雨がひどい。もちろん傘はない。

Yahoo!の雨雲レーダーだと数分後に止みそうだったのでしばらく待ってると本当に小康状態になったので、隙を見て工場のほうへ向かう。ところが。

よりによって踏切待ちの間にさっきのような滝のような雨に襲われてしまった。冗談じゃない。慌ててどっかの会社の軒先らしきところに逃げ込むが、これは当分止みそうにない。

その間に乗る予定の電車(ちなみに乗り遅れると家に帰れない)が行ってしまうと洒落にならないので、意を決してザーザー降りの中をとりあえず向こうのアーケードに向けてダッシュ。こりゃひどい雨だなあ、とスマホを手にした、そのときだった。

雨で濡れた手でスマホを掴み損ねた。

誰もいない雨のアーケードに、ちょっとヤバい感じのスマホの落下音がこだました。

顔面蒼白でスマホを確認する。画面は割れてない。後ろのカメラレンズも大丈夫そう。問題はちゃんと動くかだが・・・画面は普通についた。なんとか大丈夫そうだ。よく見たらカバーにちょっと傷がついていたが、そんな目立つところじゃないので、まあいい。むしろこれくらいで済んでほんとよかった。

結局、シャツも靴もずぶ濡れで四日市駅に戻り、亀山駅まで行ってローカル列車で山を越える。車窓はなんにも見えないので、朝に新宿の地下街でさっと取ったR25を読むが、あっさり読み切って結局暇になり、何も見えない暗い車窓をぼーっと見つめる。でもそんな時間が良い。

結局家に着いたのは、新宿から電車に乗ってちょうど14時間後。まっすぐ寄り道なしならば4時間は早く帰ってこれる。ほんとにのんびりと、行き当たりばったりで帰ってきたが、そんなしっかりした予定は立てなくてもなんとかなるもんだなあ、と疲れた身体で部屋のベッドに寝転がりながら思った。

東海道線はとくに、18きっぷシーズンになると乗り換える電車ごとに席を確保するための争奪戦がめちゃくちゃ激しい。渦中に置かれるとほんと嫌になる。だからこそ、座れなかったら次の電車まで散歩しよう、などとゆったり旅するのは実に良いなあ、と感じた。これオススメです。冬の18きっぷシーズンにぜひどうぞ。