いま、リーベルプレートがすごいことになっている。
リーベルプレート、というのは、アルゼンチンのブエノスアイレスにあるサッカーチームで、南米ではかなり強い部類に入る。で、いま日本でやっているクラブワールドカップに南米の代表として来日しているのだが、なんとチームとともにほぼ地球の裏側から2万人ものサポーターが来日しているらしい。
リーベルは昨日、Jリーグのサンフレッチェ広島と大阪で準決勝を戦って見事勝ったのだが、試合前後は大阪の各所でサポーターが大騒ぎだったそうで、難波で働く友人はその騒ぎに乗じてサポーターと友達になっていた。で、翌日(つまり今日)、何の因果か僕は午後から大阪で所用が入っていた。
ホントにあの人たちはあんなバカ騒ぎしているのだろうか。僕の興味はそこにあった。
リーベルが戦う決勝の舞台は横浜。つまり、今日あたりから大阪から横浜へのサポーターの大移動が始まるんじゃないの?と予想し、とりあえず新幹線乗り場のある新大阪駅へリーベルのサポーターを観察しに寄り道することにした。あわよくば、友人のようにサポーターと友達になったら良いなあと思いつつ。
ちなみに新大阪駅は試合直前、駅員がサポーターに胴上げされる大ハプニングが起こった場所でもある。
実はすでに出遅れた?
10時半の電車に乗ってとりあえず京都駅へ向かう車中、ある程度の情報を確認すべくTwitterで「リーベル 新大阪」などと検索していると、2時間前に「リーベルサポやべええええ」みたいなツイートが残っている。えっ、これもしかして出遅れてる???
まあでも2万人が一斉に大阪から横浜へ移動するとは考えにくいので、1時間後でもいないことはないだろう、と踏みながらも、内心は焦る。
とりあえず新大阪へ急ぐしかない。
新大阪はやっぱりすごかった、んだけど。
そういえば新大阪の駅で降りるなんていつぶりだ、と思いつつ、改札への階段を上がると、うわ、こりゃすげえ。
新幹線の乗り換え改札、右側に固まっているのはみんなリーベルのサポーターである。どうやら直接横浜へ乗り込むのではなく、逆方向の新幹線で広島を観光してから向かうサポーターもいるらしい。
入場券を購入してホームの様子をうかがいに来ると、どうも大半のサポーターは先に出る「のぞみ」ではなく「ひかり」に乗るらしい。もう既に結構な数のリーベルのサポーターがいるのだが、驚いたことにジャージや白に赤タスキのユニフォームを着ても横断幕出してバカ騒ぎはしていない。みんな大人しく新幹線を待っている。
この冷静さはいったい何なのだ。前日、まさにこの駅で駅員を胴上げした同じチームのサポーターとは思えないくらい、みんな思い思いに会話している。あれは結局一部のサポーターだったのだな、と確信したそのとき、目の前に大男が数人。
彼らはみんな「CARP」*1のロゴ入りのアディダスの赤いジャージを上下着ている。ここでピンときたのは上ならともかく、長ズボンまで「CARP」のロゴが入っていること。リーベルのユニフォームはアディダスだし、しかも大荷物。ちょっと待って、これひょっとしてリーベルの選手じゃないの???
まさかねえ、と思いつつ、意を決してつたない英語で声をかけてみた。ちなみにアルゼンチンの母国語はスペイン語だが「グラシアス」ぐらいしか知らないので、「Are you River Plate player or supporter?」と声をかけてみると、なんとひとりを指さして「Player」と言うではないか。ウソだろ?
コイツはデラロサ、デラロサ、みたいなことを言っていて、デラロサって昔中日ドラゴンズにいたけどそんな選手リーベルに居たっけ?と思いつつ、サポーター集団と一緒に写真を撮ってもらった。最後別れ際に「Good luck!」とハイタッチを交わしてお別れ。
どうやらリーベルのサポーターは自分たちのことを「Player」と形容するところがあるらしい*2。もう1組、同じように上下リーベルの赤いジャージだった人に声をかけるとやはり「Player」と言うのでマジかよ、と思い、背番号何番?と聞くと「選手リストに自分の名前は載ってないんだ」ということを言っていた。
ちなみにリーベルの監督はどうやら成田経由で移動したらしく*3、恐らくチーム本隊もこの移動と思われるので、彼らは選手ではないと思う。よく考えたら、南米No.1のチームが「ひかり」の指定席で移動するはずもない。
やがて新幹線がやってきて、カメラを向けつつわらわらと乗っていくリーベルサポーター。僕もまた用事の時間が迫っていたので、そのまま新大阪駅から撤収することにした。
このあと、所用を済ませてから午前中にやはり目撃情報があった大阪駅、それと「ひょっとしたら横浜ついでに立ち寄るんじゃないか?」と踏んだ京都駅も立ち寄ったが、ちらほらリーベルのサポーターがいる程度で、結局あの夜の道頓堀のように大声で歌い横断幕を掲げるリーベルのサポーターはいなかった。
リーベルサポは、24時間どこでも大騒ぎしている訳ではない
以下、個人的な考察。
恐らくリーベルのサポーターは、準決勝に向けて気持ちをどんどん高ぶらせて、試合前は毎夜難波や道頓堀で大騒ぎしていたのかもしれない。そして試合中はもちろん、勝利した夜はお祝いと言わんばかりにさらに盛り上がって、翌朝になれば次への戦いに向けてきちっと切り替えるのだろう。
今日、僕はたくさんのリーベルのサポーターとすれ違ったけど、誰も浮かれて大声で応援歌を歌うことなく、淡々と日本滞在を楽しんでいる様子だったのは、そういうところがあるのかもしれない。ただ、2万人もいるのなら、たまたますれ違った人たちがみんな静かなサポーターだと言う可能性もある。
ここ数日、リーベルのサポーターが各所で大騒ぎしている、という話題はTwitterを中心に大きく広がっている。ただ、来日しているリーベルのサポーターは、全員ああやって大騒ぎする人たちじゃない、というのは頭の片隅に置くべきなのかもしれない。
そして最後に、新大阪駅で声かけたリーベルのサポーター、多分読んでないと思うけど、恐ろしく拙い英語でいきなり声かけたのに気軽に写真撮影にも応じてくれて嬉しかった。またぜひ日本に来てほしい(コンビニ強盗はしちゃだめよ)。Gracias!