SH Diary.

旅行記、ときどき野球。

2023夏・東北社会見学ツアー【その1:深夜バスとJRを乗り継ぎ山形へ】

これほどあっちこっち行っているが、実は東北地方に足を踏み入れたことが3度くらいしかない。

しかも2度は函館行きの夜行列車で通過しただけ。もう1度は仙台に行ったが、用事だったので観光も何も全くできなかった。せいぜい18きっぷ移動で、乗り換えの合間に福島や郡山を覗いた程度。

しかし東北地方は三陸のリアス海岸や東日本大震災など、地理の授業を生業としている身からしたらフィールドワークのテーマになりうるものがたくさんある。授業の幅を広げるために、いつかどこかで行かなきゃいけないな、とは思っていた。

そんな矢先にお盆休みとは別で7月末に4連休を取れることになった。盆は旅行代金が高くなるゆえ混み合うのは明白なので、ここが大きなチャンスなのは間違いない。ちょうど春学期の授業が完結したタイミングで、東北へ旅立つことにした。
 

京都駅八条口鈴鹿PA→仙台駅前

今回は、ウィラートラベルが売り出している往復深夜バス+ホテル1泊のパックを予約した。新幹線とホテル1泊のパックはこれまでに何度も使ったが、バスでもこのパックがあるのは知らなかった。

そして乗るバスは、仙台行き「フォレスト号」。始発はUSJ、京都駅八条口は21:10に出て、仙台到着は翌朝の7:30ごろと長丁場だが、以前片道10時間4列シートのバスで福岡まで0泊3日往復したことを考えるとあまり怖さはない。しかも今回のフォレスト号は3列独立シートである。

バスが出る1時間前に京都駅に到着し、夕飯や買い物を済ませてバス乗り場へ向かう。しかしそこにいたバスはなんと博多経由長崎行き。これまた超長距離バスだが、仙台とは真逆の行き先である。というか、まずバス停を見渡しても「フォレスト号」の文字が見当たらない。

もう1度予約メールを見返すと、よく格安バスが発着しているアバンティ前ではなく、駅側の乗り場からの発車だった。このときバスの発車10分前、大慌てで正しいバス乗り場へ移動すると、ちょうど停まっていた高知県宿毛行きの近鉄バスの背後に同じ緑色の近鉄バスがスタンバイしている。

そのバスの行き先にはバッチリ「仙台」の文字が輝いていた。あぶねー!

あてがわれた席は後ろがトイレなのでシートは倒し放題、しかも前の人はいないので今まで乗った深夜バスではかなり恵まれた部類。ここ京都が最終乗車地なのでこれ以降は仙台まで客が増えることはないのだが、結局仙台まで乗客は10人いるかいないかという少なさだった。

仙台まで北陸道でまず新潟へ向かい、そこから磐越道で福島、ここで東北道に合流するルート、とはるか昔にこのバスに乗った人が言っていた記憶があったが、最初の休憩地点は鈴鹿PA。ここは三重県なので明らかに聞いていたルートではない。

先に結論を書けば以前とルートが変わったらしく、Googleマップの記録によれば新名神伊勢湾岸道、新東名で海老名JCTへ向かい、そこから圏央道を埼玉方面へ、そして久喜白岡JCT東北道へ入るというルートで進んでいた。ギリギリのところで首都圏中心部を避ける絶妙なルートを辿っている。

さてこの鈴鹿を過ぎると、もう翌朝の仙台駅まで乗客は降りることができない。これ以降の停車はすべて運転手交代によるものなので、買い物などはすべてここで済ます必要がある。とりあえずコンビニでお茶を追加購入したが、これだけで事足りるのか?と思いつつもバスに戻る。

22時半に鈴鹿を発ち、ここから消灯。先述のように前後に客がいない席だったので、まあまあよく寝れた。と言いつつ、「仙台行きのバスに乗っていたはずが、起きたら天橋立にいた」というそこそこ謎の夢を見てハッと目覚めた記憶もあるが。

岡崎、秦野、海老名、矢板のあたりの記憶もあるが、気がついたらすっかり外が明るくなっていた。Googleマップのログには新東名の藤枝PA圏央道の狭山PA東北道那須高原SAで停まった形跡が残っていたので、どうやらこの3箇所で乗務員交代をしたようだ。

そして7時過ぎ、ついに仙台宮城ICで東北道から下道へ。実に11年ぶりの仙台、東北である。

ちなみに鈴鹿PAの時点で事足りるのか?と思ったお茶は、なんとか持ちこたえることができた。

定刻よりやや早く、7時25分ごろに仙台駅に着いた。

今回は仙台にずっと滞在するというよりかは、仙台を拠点として東北各地を巡るというぼんやりとした予定を立てている。まずはこのまま、山形県にある「山寺」こと立石寺へと足を運ぶ。山形県は前述したように夜行列車で通ったことあれど、降り立つのは初めてだ。

ところが山寺へ向かう仙山線が行ったばかり、次は40分後までないらしい。18きっぷならその間に出発する仙山線で適当にどこかの駅で途中下車するのだが、今回は普通にICOCAで乗車していくのでそれも難しい。仕方がないので仙台駅付近を散策していると、突然楽天イーグルスのトラックが現れる。

こういうトラックは選手の野球用具を運んでいる場合もあるが、この日の楽天ベルーナドームで西武戦だったのでおそらく違う。なんのトラックだろう?と思いながらも、(野球を観に来たわけではないが)楽天のホームにやってきたことを否が応でも実感する。
  

仙台→山寺

近くのセブンイレブンで朝食とコーヒーを調達し、やっと仙山線に乗り込む。もちろん初めて。

どんどん山奥へ入っていくがこれでも仙台市内というのが非常に驚きである。そもそも仙山線は途中で人工建造物がほとんど何も見えない車窓が広がるにも関わらず、仙台市(しかも青葉区のみ)と山形市の両県庁所在地しか通らないという珍しい路線である。

しかも途中の小駅に明らかにSuicaなどICカード対応改札がなく、えっこれもしかして俺ICOCAで降りれない!?と一瞬焦ったが、降りた山寺駅ではICカードを取り扱っていて一安心。

というわけで京都駅を出発してちょうど12時間、山形県山寺駅までやってきた。

目指す奥の院までは往復2時間かかります、との看板に出迎えられつつ、いざ立石寺へ向かう。

ここは松尾芭蕉が「おくのほそ道」で訪れた寺で、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだ場所となっている。

まだ朝9時半だが立石寺の境内は賑わっており、なんと玉こんにゃくの屋台も営業している。芭蕉像を見つけたので撮ろうとしたらあっという間に台湾人観光客にあたりを囲まれたので、撮影せずにそのまま入山料を収めて奥の院を目指すことにしたのだが・・・

これがまた階段が整備されているが思った以上の山道だった。

一応ジムに定期的に通っているし、なんなら深夜バスに乗る2時間前も普通に筋トレしていたのだが、それでも芭蕉の句同様蝉の声が響くこの暑さにこの山道はかなりしんどい。あわててカバンからタオルを取り出す。ついでに塩分補給飴も口にする。昨夜京都駅で買っておいてよかった。

「汗が退く」ということがもう一生ないんじゃないかと思うくらいヘロヘロになりながら1段ずつ階段を上がり、やがて見えてきたのが岩の上に建つ納経堂と開山堂。実はこの風景を見たいがためにここ山形まで足を運んだところもあったので、一気に疲れが吹っ飛んでいく。

いやしかしこんな建物ここに本当によく作ったな・・・。

そのまま奥の院を参拝し、戻りがてら売店さくらんぼの香りの線香を購入。次の電車までまだまだ時間があったので、とことん納経堂と開山堂を眺めて下山する。

山形の夏は日差しが強いものの、カラッとした暑さとやや冷涼な風が心地よい。

山寺駅に戻っても30分以上時間が余ってしまったが、深夜バス明けでこの日差しの中いきなり登山をしてしまい少しバテ気味だったので、駅に設けられた展望台からぼけーっと山寺の街並みを眺めていた。かなりたいへんだったものの、いいリフレッシュになったのは間違いない。

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